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道化の国
気持ち4


「わたくしは白露が好きだ、誰にも負けないくらい好きだ。だから、白露も同じくらいわたくしの事を好きでいてくれ。」


勢いよく白露の胸に飛び込み、顔を埋めた。
広い胸に小さく収まる花月の肩に手を置き、白露はゆっくりと身体を離す。


「冗談だろ?」


花月は白露の言葉に目を見開き、眉尻を下げた。
止まりかけていた涙が、悲しみの色を孕んで落ち始める。

そんな花月を見て、白露は変わらぬ表情で口元だけを僅かに緩ませた。


「俺は花月が想っている以上に、お前の事を愛している。」


白露は花月の頬に掌を当て、零れる涙を塞き止める。


「はく・・・ろ・・、白露の・・馬鹿ぁー!驚かせるな・・、わたくしは・・・わたくしは・・・、う・・うぅー・・・。」

「泣くな、・・・でも嬉しいじゃないか。俺に嫌われたとでも思ったのか?」


肩を揺らし泣く花月を腕に収め、子供をあやすように宥める。

的を突き、尚且つ子供扱いする白露に悔しさを覚え、花月は目の前の胸を力強く押し退ける。
しかし花月を包む白露の腕は、簡単には離そうとはしない。


「ち、違う!・・・白露なんて嫌いだ!子供扱いするな!白露の・・・・っ!」


暴れる花月の腕を取り、白露は唇を落とした。
触れるだけの口付けは、唇を掠めすぐに離される。


「子供扱いじゃない、愛してるからこそ大事に扱っている。・・・悪いか?」

「・・・悪く・・・・・・ない・・。」


不意にもたらされたキスに恥かしさと戸惑いで顔を紅くさせる花月は、白露を見上げて言葉を呟いた。
頬を伝う涙を拭き、白露は花月の頭を大きな掌で優しく撫でる。


「帰るぞ、・・・黙って出て来たんだろう?」


花月はゆっくりと頷き、視線を下に向けた。


「殿や奥方様に一緒に謝ってやる。今頃皆心配しているぞ。」

「うん・・・。」

「やけに素直だな。」


花月の手を取ると、白露は薄く笑って立ち上がった。


「白露・・・。」

「どうした?」

「・・好きだ。」


小さく呟き見上げてくるそのはにかんだ笑顔に、白露は繋いでいた花月の手を引き寄せ髪に顔を埋めた。


「ずっとお前だけだ・・・。」



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あきゅろす。
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