「美咲終わりましたよ。マリカ、ありがとうございました、助かりました」 センリから終了の声が聞こえると、美咲からマリカの手が離れる。 真っ暗だった視界にぼんやりとした光が差し、センリの無事な姿を確認する。 「センリはユーマとまだこんな遊びしていたの?」 「マリカ……遊びって?」 「昔からユーマはセンリにかまってもらいたくって、いつもこんなことばかりしてたのよね、あの子歪んでるから」 そう言って呆れたように話すマリカは地に平伏したユーマを顎で指した。 「私に美咲と言う希望の光が現れたのが、一番面白くなかったんでしょうね。まだまだ子供で困ったものです」 「もう少しかまってあげれば良かったじゃない。そうすれば、こんな事にならなかったんじゃない?」 「私には美咲しか見えていませんから、他所に目を向けている暇なんてありません」 「本当に冷たい男ね」 「しかし、今回の事はユーマが悪いです。標的を私にするならともかく、美咲を狙ったのですから……殺さなかっただけでも良しとしてください」 「殺そうと思わないくせに、まったく……。何だかんだ言って、ユーマが可愛いんでしょ?」 今まで二人の話を聞いていた美咲が間に入った。 「あの……、皆はユーマと知り合いなの?」 「ん?まぁね、美咲にセンリを取られたのが一番面白くなかったのよ、そうよねセンリ」 「男性にモテても、嬉しくも何ともありません。ましてユーマは自分の気に入った玩具を他人に取られた事が面白くない……、そんな感情なのだと思いますよ」 「じゃあ私は、センリとユーマの争いに巻き込まれたんだ……」 「すみません、美咲」 美咲は力なくその場にへたり込み、地に手をついてしまう。 てっきり自分が狙われていて、センリを巻き込んでしまったんではないかと、心配をしていたから。 それが違うとわかり安堵から、強張っていた身体から力が抜けてしまった。 「美咲大丈夫ですか!?」 「いや……ハハ……大丈夫、ホッとしたら力が入らなくて」 マリカはそんな美咲に微笑する。 「さて美咲も無事だったし、終わったなら私は帰るわよ」 「今日はありがとうございました、いずれお礼をします」 センリは美咲を抱きかかえ、マリカに軽くお辞儀をした。 |