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道化の国
お土産


「美咲、お土産です。」


疲れた顔のセンリがフィールドに戻ると、美咲に声をかけた。
センリが身体をスッとずらすと後方から花月が飛び出し、一直線に美咲のいる場所へと向かって行った。


「美咲ー!」

「お土産・・、きゃ、花月・・、どうしたの!?」


花月に飛びつかれ、美咲は目を丸くする。
突然の出来事に、美咲はセンリの顔を見ると苦笑いで首を傾げた。


「いてもたってもいられなくて・・、一人で考えても何もわからないから、美咲に助けてもらおうと思って・・。」

「他力本願ですね。自分の恋人くらい、花月が考えてもわかりそうなものですけどね。一体どれだけの時を一緒に過ごしたと・・・。」

「う・・・煩ーい!センリは黙ってろ!美咲、聞いてくれ。・・・と言うか、なぜその様な相談だとわかった・・・。」


美咲の縋りつく格好のまま、嘆くように話すセンリに花月は噛み付くと同時に疑問を口にした。


「私は何でもお見通しですよ?・・最初から関係しておけば、後でゴチャゴチャに絡まった問題ごとを持ってこられるより、よほどマシです。さぁ、話してみてください。」


わかりきったように話すセンリに花月は眉間にシワを寄せ、美咲の身体からゆっくりと手を離した。
美咲に座るよう促され、花月は大人しく腰を落ち着ける。


「実はな・・・、最近また白露の様子が変なんだ。隠し事をしているような・・・、前のあったような感じでわたくしを遠ざけている・・。でも、前みたいに冷たい瞳ではなかった・・。ただ、たまにわたくしを射抜くように見つめている時がある・・・。視線を感じれば、いつもその先には白露がいて・・そうやってわたくしを見ているんだ。」


少し俯く花月は消え入りそうな声で、時間をかけて話した。


「そう・・・なんだ・・。」

「わたくしは・・、怖い・・。白露がわたくしの知らない所で、また何かしているのではないかと、わたくしに隠し事をしているのではないかと・・・、そんな事ばかり考えてしまう。」


花月は一通り話し終えると、力が抜けたように肩を落として小さくなっていた。
美咲はそんな花月を尻目に、センリにこっそりと耳打ちをした。


「センリ、どうしたら良いかな。」

「そうですねぇ・・・、白露は暫くこちらに滞在するそうですから、時間をかけてこの問題を解決してさしあげましょうか。」

「良いの?」

「どうしてですか?」


センリなりに考えた事を話したのだが、美咲は意外そうな顔をして顔を見上げている。
そんな美咲に驚き、少々面食らうセンリは苦笑した。


「いつものセンリなら面倒って思って、サクッと力技で解決しちゃうか、興味ないって感じで放っておくのかと思って・・。」

「・・・・美咲・・、私はこれでも白露とは友人だと思っていますよ?それに、今の白露は不憫でなりません。漸く想いが叶ったと思えば、また壁が目の前に立ちはだかる・・。少しはお手伝いをしてあげたくもなりますよ、あの不器用な方々を見ていれば。美咲もそう思いませんか?」


美咲の言葉に戸惑うセンリは、困り顔で心の内を語った。
納得した様子を見せる美咲は何度も頷き、微笑みを見せる。


「うん、そっか、・・あー、なんだかやる気が出てきた。絶対に二人を仲直りさせてあげようね。」

「美咲ならそう言うと思いました。もう問題が起きないように、二人の結びつきを強固な物にして差し上げましょうね。」


センリの本音としては、二度と問題を起こして巻き込まれないよう、今の段階で地盤を固めてしまおうと言うもの。
そんな事は言葉を出されたとしても、センリの本当の気持ちを美咲は知る由もなかった。



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あきゅろす。
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