「センリ、呼んだ?ってお取り込み中かしら?」 飄々と現れたマリカの前には、裂傷があちらこちらに見えボロボロになり蹲っているユーマと、息も乱さないセンリが立っていた。 「マリカ忙しいのにすいませんね。その建物の影に美咲が居ます、側にいてやってください。もう少しで片がつきますから」 「わかったわ」 取り込み中の二人に後ろでに手を振り、マリカは美咲に近づき肩に手を置いた。 少し背の高いマリカに顔を向け、不安そうな美咲は瞳を潤ます。 「マリカ……。私見てるの、怖い」 「そう……じゃあ見ないで、瞳を閉じていなさい」 マリカは美咲の瞳を両手で覆った。 震える美咲を見下ろしながら、マリカが呟く。 「すぐセンリが終わらせてくれるわ」 閉ざされた視界の中、美咲は愛しい人の無事を祈っていた。 「そろそろ強情を張らないで、無益な戦いは止めにしませんか?」 「うるせぇ!!いつまでもガキ扱いしやがって……。そのしたり顔がむかつくんだよ!」 「そのように蹲って肩で息をしている人に私が鞭を振るえば、苛めているようにしか見えなくて嫌なのですが」 変わらぬ態度でいるユーマへ止めとばかりに、センリの鞭がしなった。 「……グゥッ!」 その一撃はユーマの身体に波打つように這い、あまりの痛みと今までの戦いの疲労から気絶してしまった。 |