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道化の国
噂1


リビングに入れば呆れ顔のマリカと、呆然としたマスカーレイドがソファに腰を下ろしていた。


「・・・・・で、今度は何の用ですか?」

「私はもう嫌よ、マスカーレイドに使われるの。・・ほら、マスカーレイド!用事があるから此処に来たんでしょう!?早く言いなさいよ。」


マリカはだるそうに手を振り、マスカーレイドから顔を背けた。
するとマスカーレイドは重いため息をつき、小さな声で話し始めた。


「女の子が・・・。」

「女性がなにか?」

「・・・俺の事を見て、指をさすんだ。」

「相変わらず注目の的ですね。」


センリはソファに深く腰をかけ足を組むと、抑揚のない声で答える。


「だったらこんな事で、怒られるの覚悟でセンリの所になんて来ないよ!女の子達は俺に軽蔑の眼差し、物珍しい目を向けるんだ!そして近寄ると悲鳴を上げて逃げていく・・。」


マスカーレイドはセンリの態度が不満なのか、鬼気迫る声で手をわななかせていた。


「どうしよう!俺の唯一の楽しみが奪われてしまったら、これから俺はどう生きれば良いんだ!」


マスカーレイドが叫び悲観にくれていると、美咲が首を傾げて扉の隙間からリビングの様子を窺っている。


「美咲、そんな所にいないで貴女も来たらどうですか?」


センリはそんなマスカーレイドなどおかまいなしに美咲に声をかけると、自分の隣をポンポンと叩いた。
促された美咲は頭を抱えたまま苦悶の声を上げるマスカーレイドを横目に、センリの隣に腰を落ち着けた。


「・・マスカーレイド、どうしたの?」

「美咲、聞いてくれる!?こいつら俺の話を真面目に聞いてくれないんだ!」


視線をマスカーレイドからセンリに移せば、いつもと変わらぬ笑みで美咲を見つめている。


「つまらない話です、聞かない方が良いと思いますよ?」

「センリ邪魔しないで!美咲が聞きたいって言うかもしれないのに!」


荒れるマスカーレイドにマリカは閉口してしまい、さも飽きたとばかりに欠伸をかいていた。



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あきゅろす。
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