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道化の国
我慢していた涙


ルイによってフィールド外に出たセンリ達。

苛立つ心を抑えながら、センリは側にいる美咲の肩を抱き締める。


「じゃあ俺はもう良いよね。」

「・・・そうですね・・・、と言いたい所ですが・・。」


センリは美咲の身体を離しルイの目の前に立つと、大きく手を振り上げルイの頬を思いきり引っ叩いた。


「センリ!」

「――ッ!」

「これは私の分です。良いですか・・、美咲の前だからこれで済ませようとしているのですよ?美咲がいなければ、貴方は生きてはいられないかもしれません・・、それほど私の怒りは大きい。二度と姿を現さないでくださいね・・。」


ルイの襟首を掴みセンリは美咲に聞こえないよう、耳元で囁いた。
地を這うような低く強い声で、ルイに釘を刺す。


「・・わかったって。」


美咲の分と称して叩かれ赤かった頬が更に色濃くなる中、横目で鋭く眼光を光らせるセンリは、ルイの言葉に眉をひそめ尚も睨みつけた。

ルイの態度に不満足なセンリは美咲に手を引っ張られ、その場を後にした。
俯くルイを気にしつつ、美咲はセンリの手を力強く握り締める。



フィールドに着くなり、美咲はセンリに身体を向け、押し黙ったままの顔を覗き込んだ。


「センリ、ルイにあんな事しなくても・・。」


美咲はセンリがルイにした事をやんわりと咎め、表情を曇らせる。


「私も悪かったの、勝手にお店から出たから・・。」

「・・・美咲は何も悪くないのです・・、・私は・・、私が美咲に嫌われたくないばかりに臆病になってしまって・・、こんなにも美咲が愛しくて、怖がられたくなくて・・・。」

「センリ・・?」


時折言葉を詰まらせながら、センリはゆっくりと口を開く。
美咲はセンリに抱き寄せられていたため、その時の表情は見る事が出来ない。


「私はアルマに痛い所を突かれてしまい・・、されるがままに流されてしまって・・・、結果美咲を泣かせるような事をしました・・・。私が弱いばかりに・・、全て・・・私の責任です・・・、すみませんでした美咲・・。」


徐々に強められる腕の力、美咲の頭にはマスカーレイドが言った言葉が思い出され、我慢していた涙がまた溢れ出す。


『我慢しなくて良いんだよ。』


「・・センリ・・・あのね・・、私・・・。」


『嫌なら嫌だって言っても良いんだよ。』


「私・・・本当・・嫌だったの・・、私以外の誰かがセンリの隣で笑っているのを見るの・・、センリは私の大切な人だから、離れてって言いたかった・・けど・・――。」


嗚咽交じりの美咲の台詞は、センリの荒々しい口付けで遮られた。



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あきゅろす。
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