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道化の国
変な人


「でも・・・、あなたは本当に変ですわ。」


フィールドを抜けたアルマはポツリと独り言を零す。


「何が?」

「他人の希望の光にあんなに肩入れするなんて、自分でもおかしいと思いませんの?」

「ん〜・・、そんな事思った事もないからなー・・、希望の光・・って言うよりも、美咲だからなんじゃない?他の希望の光を見たことがないから、一概にはなんともいえないけどさ。」


立ち止まるアルマは横目でマスカーレイドを盗み見すると、そこには口元を緩ませ何かを考えるマスカーレイドがそこにいて、アルマはその表情に釘付けになった。


「美咲は本当に良い娘なんだ、俺達を平等に扱ってくれてさ、過剰なくらい心配をしてくれる。・・だからなのかな?俺も美咲に何かしてあげたいって思えるんだ。ごく自然に。」

「・・・そう・・ですの・・・。」


自分の隣で自分以外の女を褒めるような立場に立たされたことのないアルマは興味なさそうに返事をし、優しい口調で話すマスカーレイドを睨むように見ている。


「そう、この国の住人みたいに薄情な感じがないって言うのが、一番なんだろうね。裏がないっていうの?素直で、純粋で・・・。」

「もうわかりましたわ、美咲の話は結構ですわ。」


いつまでも終わりそうにない美咲への賛辞をアルマは鬱陶しく思えてきて、マスカーレイドの言葉を遮った。


「他人を褒める言葉は聞いているだけで寒気がしますわ・・・。」

「あ、そう。」


アルマの方から聞いてきたのに・・、マスカーレイドはそう思いながら口を噤み嘆息する。


「じゃあ、此処で良いよ、ありがとうアルマ。」


相変わらず自分を通そうとするアルマに半分呆れながらも、マスカーレイドは後ろ頭を掻き礼を述べた。
これで会う事もないだろうと踵を返し、後ろ手で手をひらめかせるとアルマの高い声が小さく聞こえた。


「ちょっと待って。」


アルマはマスカーレイドの服を引っ張り、その足を止めさせていた。
何か用事でもあるのかと、マスカーレイドは首を傾げて自分を見上げてくるアルマを見つめた。


「私・・、あなたともう少し話・・したいですわ。あなたみたいな変な人、初めて。そこまで美咲を思う、あなたをもう少し知りたくなりましたわ。」

「・・・は、・・・はい?」


思ってもみないマルマの台詞にマスカーレイドは動揺の色を隠せず、口の端を引きつらせて裏返る声を出した。



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あきゅろす。
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