道化の国
お仕置き
取り残されたアルマとマスカーレイド。
「なぜ貴方は帰らないのかしら?」
アルマは怪訝な顔でマスカーレイドを一瞥すると、面白くなさそうに腕を組んだ。
「俺?俺はまだやる事があるからね、・・・じゃあ手始めにアルマから・・・。」
ほくそ笑むマスカーレイドはアルマを羽交い絞めにし、暴れる身体を押さえつけた。
「やっ!何をなさるの!?いやーッ!!」
「センリは俺に“後は頼みます”って言ってるからね、・・・センリだったらこれくらいじゃ済まない所だよ?」
ベッドに腰を下したマスカーレイドはアルマを膝の上にうつ伏せにし、手を大きく振り上げて尻を打ちつけた。
「イターイ!!」
「大人ぶる子供にはこれが一番屈辱でしょ。」
ニヤニヤと口元を歪ませ、マスカーレイドは何度も渇いた音を部屋に響かせた。
「レディに対して子供・・痛いですわっ!もう止めてー!もうこんな事しないし、謝ってますのに・・イヤーッ!」
「・・・本当に効き目あるな、・・白露のお仕置きがいつもこれなの、分かる気がしてきた。」
グズグズと涙ながらに謝罪をするアルマに、マスカーレイドが呆れたような笑いを零す。
「じゃあもうセンリ達に近寄るなよ、美咲を泣かせるような事、二度とするなよな。」
「・・・わかりました・・わ・・。でも、なぜ貴方の希望の光でもないのに、それほどまで美咲に肩入れをするのかわかりませんわ・・・。」
アルマの言葉にマスカーレイドは俯いて肩を震わせ、笑い声を上げた。
自分でも理解できない美咲に対しての今までの言動を省みるが、自分でもサッパリわからないでいる。
「ははっ、何でだろう。俺にもわからないね、でも・・美咲はいい娘なんだ、だから泣かせたくはないね。」
「変な人ですわね、貴方って。」
「褒め言葉として取っておくよ、アルマはマスターキーリング持ってんだよね、俺をフィールド外に連れてって。」
アルマは痛む臀部を擦りヨロヨロと立ち上がると、無言で空間を切り裂きその中に入って行った。
「アルマも十分変だと思うけど、ルイとアルマの関係って何?恋人って感じじゃなかったけど。」
言葉を発したマスカーレイドに振り向き、アルマはきつく睨む。
「誰があんな我侭と恋人ですって!?あれは私の双子の弟ですわ、まったく失礼な方だわ!」
「ふーん、双子ねぇ、初めて見たな。」
「さっさとフィールド外に出てくださらない?私は一刻も早く貴方から離れたいのですけど。」
ふてぶてしさを前面に押し出し、アルマはそっぽを向いたまま先を歩く。
「怒られて当然の事をしたのに、その態度って・・・。」
肩を竦ませるマスカーレイドは大きくため息をつき、アルマの後ろを追う様に闇に溶けていった。
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