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道化の国
揃う役者


シンと静まり返ったベッドルームに、軽い足音が近付く。
勢いよく開かれた扉から飛び込んできたのは、眉を吊り上げたアルマだった。


「ルイ!センリは難しいわ・・・・、あら・・・皆様お揃いですのね・・。」


赤く腫れたルイの頬、泣いてセンリにしがみ付く美咲、苛立ちを隠せずにいるセンリ、呆れるマスカーレイド。

それぞれの面々を見て全てを覚ったアルマは、渇いた笑い声を上げた。


「取り込み中ですのね、では私は出直してきますわ。」


引きつった笑顔でルイのフィールドを出ようとすると、マスカーレイドに首根っこを押さえつけられた。


「何ですの!?離しなさい!」

「お前も当事者だろ〜?なら此処で少し話を聞かせてもらおっか。」


意図的なマスカーレイドの笑みにアルマは悔しそうにするが、観念したのか眉間にシワを寄せたままルイを呼んだ。


「ルイ、こうなったら謝りましょうよ。気に入らないけど私にはもうお手上げだわ、・・・センリ達の邪魔をして悪かったわ。」

「随分素直だね。ルイ、アルマもこう言ってんだし、早く謝った方が良いと思うよ。」


マスカーレイドがそう言うと、チラリとセンリを盗み見る。
アルマが現れた事で刻まれた眉間のシワは深くなり、美咲がセンリに抱きついていなければ今にも爆発しそうな勢いを保ったままでいる。


「お前もタイミング悪いよ、アルマ。・・俺謝るの好きじゃないんだけど、仕方ないか。ごめんね美咲、怖かった?」


ルイの言葉にアルマは少しムッとするが、それに反発する事なく顔を背けた。


「も・・・良いよ・・、怖かったけど、私も悪かったもの・・。センリを信じて側にずっといたらこんな事にならなかったんだもの・・・。」

「しかし、私は許したくはないのですが。」

「美咲がもう良いって言ってんだから、これで終りにしようよ。これだから嫉妬深い男って嫌だよな、いつまでも愚痴愚痴言っちゃってて。」


呆れたように投げやりに話すと、そんなルイを見てセンリは再燃する怒りを拳に込め、地底から響くような低い声を絞り出した。


「よくもそんな事を言えますね、そもそも貴方が美咲を連れ去るから・・。」


むきになるセンリを美咲は腰に回した手を強くして諌め、センリは口を噤んでしまう。


「センリ、もう行こう・・。私ルイやアルマに怒ってないの、だからもう帰ろう。」


美咲がセンリに帰ることを促すと、少しばかりの静寂が部屋に漂う。
その美咲の声に、センリのこみ上げていた怒りは波が引くように急速に減退してゆく。


「・・・美咲がそう言うなら、帰りましょうか・・・。マスカーレイド、後は頼みます。」


センリは美咲の手に自分の手を重ねてから身体を後ろに返し、美咲を正面から抱き締めていると、マスカーレイドは無言で頷きため息をついた。


「ルイ、私達をフィールド外まで送ってください。」

「わかったよ・・。」


面倒臭そうに髪を掻き上げ、ルイは空間を切り裂きセンリ達とその暗闇に入って行った。





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あきゅろす。
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