道化の国
ルイ1
ルイのフィールドに着くなり、美咲は繋がれた手を振り解いてルイに怒りをぶつけた。
「私をセンリのもとに・・・。」
あれほどセンリに逢う事を拒んでいた美咲は、思わず本当の気持ちを叫んだ。
実際センリには逢いたい、しかしアルマがセンリの隣にいる場面は見たくない。
そんな思いが募り全ての台詞を言い終える事が出来ず、語尾を小さく消してしまった。
「どうして?美咲が泣いていたのはセンリのせいなんでしょ?だったら帰らないほうが良いと思うよ、きっとアルマはセンリを逃がさないから。」
「・・・ルイ・・、どうしてその事を知っているの?」
得意そうな笑みを浮かべ、ルイは美咲の手を取るとフィールドの奥へを連れて行く。
「ね、・・どうしてそれを知っているの?アルマの事も何で知っているの?」
「さぁね〜、どうしてかな。」
弾んだ声を出すルイは扉に手をかけ押し開くと、そこは大きなベッドが美咲の目に飛び込んだ。
「泣いている美咲を慰めてあげるよ、センリに捨てられた可哀想な美咲をね。」
「いや・・・ルイ止めて!」
自分よりも幼く見えるルイに、美咲はどこか油断をしていた。
しかしそれは男で力では敵う筈がなく、引きずられるようにしてベッドに身を沈ませられた。
「俺も希望の光が欲しくてさ、美咲やセンリの事調べたんだよ。お互いに随分溺愛してるみたいだよね・・、愛情が深ければ深いほどヤキモチ妬きってね、アルマに仲を裂いてもらうの協力してもらったんだ。こうも上手く事が進むと、少し拍子抜けしちゃうよ。」
ルイは美咲の手首をシーツに縫いつけ、顔を近づける。
クスクスと笑うルイに恐怖を覚え、美咲は目を見開き大きくかぶりを振った。
「イヤ・・・イヤ・・。」
見下ろすルイはなめまかしい視線を美咲に向け、口元を吊り上げた。
涙を流す美咲の姿に身体が昂りを見せ、紅い舌がチロリと覗かせ自分の唇を舐め上げた。
今から獲物を狩る、猛獣のような瞳を湛えて・・・。
「やだ!センリ助けてっ!」
「俺のモノになりなよ、センリ以上に可愛がってあげるからさ。」
センリとは違う唇の感触が、美咲の首筋を這う。
「イヤーッ!!」
ねっとりと絡みつく舌は、美咲の白い肌を嬲るように蠢いた。
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