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道化の国
水色の瞳2


「俺、どうして此処に?」

「貴方は倒れていたのを、覚えてはいないのですか?」


美咲に向けられていた視線はセンリに変えられ、少年は首を横に振った。


「倒れていたんじゃなくて、寝てたんだけど。」

「え・・?」


少年は身体を起こすと大きく背伸びをし、美咲の方に身体を向けた。
助けてもらったとも思わない少年は、まだ眠たそうに欠伸をしている。

その様子を見ていて面白くなかったセンリは、肩眉を僅かに上げた。


「じゃあ大丈夫ですね。美咲、帰りましょう。」

「え、あ、う・・うん。」


踵を返すセンリは美咲の手を取り苛立つ心を抑えながら扉に向かうと、何かに引っ張られセンリの足が止まった。
何かに引っ張られていたのはセンリではなく、美咲。

美咲の腕を少年が掴んで、重い瞼を擦りながら見上げる。


「ちょっと待って。・・・ねぇ、美咲って言うの?」


驚く美咲が振り返れば少年はあどけない表情で、首を傾げて気だるそうに微笑んでいた。


「うん、そうだけど・・。」

「俺、ルイ。覚えておいて。」


センリはルイを横目で睨み、美咲からルイの手を振り解く。
そして美咲の手を取り身体を寄せると、肩に手を回した。


「美咲、覚えなくて結構ですよ。貴方も紛らわしい事をしないでください、眠るなら貴方のフィールドで眠ってください。・・・さ、行きましょう。」

「それは、どーも失礼しました。また会おうね美咲。」


ルイは髪を掻き上げ、美咲に手を振った。
困惑しながらも、美咲は苦笑いで手を振り返しセンリに促されるまま店を後にした。

ルイの態度に胸中穏やかでいられないセンリは、美咲をジッと見つめた。


「美咲、もしルイに会っても、ついて行っては駄目ですよ?」

「どうして?」

「嫌な予感がします。なぜだか私とは合わない波長を感じました。・・ですから、ルイとは二人っきりにならないでくださいね。」

「二人っきりもなにも、私はいつもセンリと一緒にいるじゃない、そんな事出来ないよ。もう会う事はないもの、心配しないで。」


センリの不安を払拭させる美咲の笑顔に少しだけ胸を撫で下ろし、センリ達はフィールドに戻った。


BARに一人取り残されたルイが、小さく呟く。


「良いな〜・・、あれが“美咲”かぁ・・。俺も希望の光・・・欲しくなった。」


ルイは口角を上げ含んだ笑みを浮かべると、重い腰を上げ立ち上がった。






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あきゅろす。
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