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道化の国
穿たれた心1



美咲が漸く泣きやんだ頃、今まで見て見ぬ振りをしていたセンリの心の傷がジワジワと痛み出す。

我を忘れた美咲から放たれた言葉は、いまだ残されたまま。
いくら温もりを得ようとも、完全に塞がる事のない心の穿孔。

美咲の身体を抱き締め、センリは少しだけ心の内を吐露する。


「少しだけ……、まだ、心が痛いです。美咲から言われた言葉が刺さったままで、とても……痛いです」


美咲はハッとして、センリから離れて顔を窺う。
寂しそうに微笑むセンリが美咲の髪を撫で、頬に唇を寄せた。


「すみません、別に美咲を責めているわけではないのです。弱っている美咲にあまり言いたくなかったのですが、私も……弱い人間です。本心ではないとわかっていても、美咲に関しては自分の力だけではどうにも出来ません」


語りかけるように穏やかな口調で話すセンリに、美咲の顔は徐々に俯いてゆく。


「……私がつけた傷は、私が治す。センリ、どうしたら良い?」


センリにしがみつき、センリを見上げる美咲は眉尻を下げる。
そんな美咲を見て、センリは美咲の後頭部に手を回し優しく撫でると、耳元で囁いた。


「美咲、貴女の愛で私の心の傷を塞いでください。貴女と……一つになりたい」

「センリ……」


静まり返る室内で、熱い視線を絡ませ合う。

センリの手が美咲の頬に添えられ、どちらともなく唇が寄せられるとゆっくりと重なり合った。

センリの舌は美咲の舌を誘い出すように、優しく口内をなぞる。それに捕らえられると、口付けは益々深く濃密なものへと変化する。

蕩けそうなほど熱く、酔いしれる甘いキス。

美咲から離れ、頬に添えられた手を顎先に落とし、そのまま首元に触れる。
ユリエルにきつく締め上げられた指の痕が痛々しく残っており、センリは痕をなぞるように舌を這わせる。


「ん……ぁ……」

「苦しかったですね……、首、大丈夫ですか?」

「だい……じょ……ぶ……、んン」

「もう、あんな怖い思いはさせませんからね」


美咲の服をスルリと脱がし、露になる白い肌に紅い印を残す。

柔らかな膨らみを手覆い、感触を楽しむ。
直に伝わる温かな体温。

ずっと触れていたいセンリは、美咲の胸元に顔を埋めた。
紅い突起は自らを主張し、センリの指先に嬲られている。


「ん……ゃ……あ……、ふぅン……」

「疲れているでしょうから、あまり無理はさせませんからね」


センリの顔がおもむろに下肢に降りてくる。
サラサラなセンリの髪が、美咲の肌を掠めれば美咲は甘い喘ぎを漏らす。





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あきゅろす。
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