甘い疲れで身体を弛緩させた美咲を、センリは後ろから抱き湯船につかった。 「可愛かったですよ、美咲」 「……そんな……でも、今日は何もしないって」 「私以外の印を残しておきたくなかったので、つい」 美咲は振り向くと、センリの顔を切なそうに見る。 「……ごめんなさい、もうちょっと気をつけていれば」 センリは徐々に俯く美咲の頭を抱き、優しく撫でる。 「いいえ、美咲は悪くありません。私の気の緩みでした。誰も見かけなかったと言われて、安心していました。……怖い思いしましたね」 頭に感じるセンリの手。 美咲を責める事なく、センリは己を責め、美咲は胸を締め付けられ力なくかぶりを振る。 「元はと言えば、ユーマが一番の元凶です。次に会ったらただではおきません」 撫でる手は変わらず優しく、しかし、センリの声は獰猛さを秘めている。 怒りの矛先が自分達だけでなく、ユーマに向うと美咲は急に顔を上げた。 「……変な事だけはしないでねセンリ、……顔が怖いよ?」 「それはユーマに話を聞いてみない事には……、彼の返答次第です。騒動の理由は、まぁ……なんとくはわかるのですが」 美咲に指摘され、センリはすぐに表情を戻す。 何か言いたそうに眉尻を下げる美咲に、唇を重ねた。 「美咲は心配しないで大丈夫です」 声を遮られた美咲は、言葉を噤んだままセンリの胸にもたれた。 |