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道化の国
優しさ2


交わりが終われば、女はウットリとした表情で俺に擦り寄る。


「マスカーレイド・・・、何で名前を呼んでくれないの?」

「呼んで欲しかった?」


女は俺の頬に指をツゥと這わせ、寂しそうに言葉を紡ぐ。

特別になりたがる女は、名前を呼ばない俺に不満を漏らす。

それを知っているから、性交を持つ様な女の名前を呼ばない。

特別だなんて勘違いされたら、困るしね。
縛られるような事はしたくないし、されたくない。


「ごめんね。じゃあ俺は帰るよ。」

「・・・・・もう帰るの?」


長居をしてもろくな事にならないのは、今までの経験上で学習した事。

女が情を寄せるから、さっさと帰る。


それを言ったら、マリカには怒られたけどね。
女を馬鹿にしてる、とかって。


馬鹿にはしてないよ。
面倒な事はしないだけ。

回避するには、これが一番だから。


所詮遊び。

それを知ってもらいたいから、キッパリと態度で示してやるのが、俺の優しさ。

ズルズルとしていたら、女は俺に期待するから。


服を着込み、女のフィールドを抜け、別れ際、女と唇を重ねる。


「じゃあね。」

「また会ってくれる?」


俺は何も言わないで、また唇を寄せ、女に微笑みかけ別れる。


「“また”は無いよ。」


独り言を呟きながら、俺は自分のフィールドに戻る。


そう、“また”はない。

遊びなら、一回で十分。


俺を本気で、熱くさせる事が出来るのは・・・。



きっと。


―――希望の光だけ。






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