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道化の国
宴1



湯殿から部屋に戻ろうとすると、白露がしかめた顔でセンリ達に近付く。


「あまり遅いから迎えに来たぞ。皆腹を減らして待っている、夕食の時間だ」

「もうそんな時間ですか」


すたすたと前を歩く白露の後ろを二人はついて行き、大きな広間に通された。
並べられたお膳の前で皆が待っており、今回は花月と白露の友人だからと言う事で二人の席も設けられていた。


「美咲、風呂はどうだった?」


先ほどよりは少し落ち着いた様子の花月が、美咲に話しかけた。


「うん、とても素敵で……、気持ち良く入れたよ」

「そうか、喜んでもらえて良かった。じゃあ皆揃ったし、食べよう」


センリ達も席に着き、お膳を前にして彩の良い豪華な食事に舌鼓を打つ。
花月も普通に白露と談笑をしている様子を見て美咲はホッと胸を撫で下ろし、美味しい食事を堪能した。

酒が入ると、マスカーレイドとマリカ、白露の三人が飲み比べをしたが、真っ先に潰れたのはマスカーレイドで。
マリカと白露は平気な顔で、それぞれ二升ずつ飲み干していた。

花月は酔い潰れたマスカーレイドにビクビクしながらも、その様子を面白そうに笑いながら見ていた。

楽しい食事に美咲とセンリもいつも以上に笑い、倭の国の料理を楽しんだ。


「悔しいわ〜、利き酒も酒量も白露に勝てないなんて」

「これだけの量を飲んでおいて酔いもせず、それだけ確かな舌をもっているなら大した物だ。それに女でそこまで呑めれば上等だろう、これ以上強くなってどうする」

「私は男に負けたくないだけよ」


尚も杯を離さない二人は、まだ酒を呑んでいて。
そんな二人を、段々不安そうに見る美咲。


「ね、センリ。あの二人、あんなに飲んで大丈夫なの?」

「大丈夫でしょう。それに酔い潰れたとしても、私には関係ありませんから」


当然とばかりに微笑むセンリに、美咲は苦笑いを浮かべた。


「でもマスカーレイドだけでも、寝せてきた方が良いんじゃない?あんな所で寝ていたら風邪引いちゃう」

「構わないでおきましょう。美咲が気に掛ける事ではないですよ」

「で、でも……、じゃあせめて何か掛ける物を持ってくる」

「美咲……」


センリが止める間もなく美咲は席を立ち、広間を後にした。

暫くすると、丹前を腕に抱えた美咲が帰ってきた。


「マスカーレイド、風邪引いちゃうよ」


美咲はソッとマスカーレイドの身体に丹前を掛けてやると、マスカーレイドの腕が伸び美咲の身体を引き寄せた。


「きゃ……」

「うーん、暖か……い」


刹那、寝ぼけていたマスカーレイドに戦慄が走る。






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あきゅろす。
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