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道化の国
鍵となる言葉


一方その頃、花月達は。


「美咲が居なーい!センリに先を越されてしまったー!おっお前のせいだ、変態マスカーレイド!」


美咲が居ない事に気付き、大声を上げていた。


「俺のせいなの?酷いな〜」

「お前がわたくしの側にいるから、気を取られてしまったではないか!」


叫びながら白露の後ろに隠れ、花月は尚もキャンキャンと吠える。


「花月、静かにしろ。そんなにマスカーレイドを倭の国に置いておきたいのか?」

「うぅっ……」


強い視線で見下す白露に花月は言葉を詰まらせ、口元を歪ませながら睨んだ。
それが花月が出来る、精一杯の抵抗だった。


「じゃあ、私は一人で倭の国の見物でもしてくるわ〜」


空気を読もうともせずクルクルと回りながら、マリカは嬉しそうに跳ねてその場を去った。


「マリカずるいよ、俺も行く。俺、帰ってこないかもしれないけど、心配しないで」


マリカに続けとばかりに怒る花月を素知らぬ振りをし、マスカーレイドも足早について行った。


「はぁ……皆居なくなってしまったが、花月はどうする」

「皆勝手に行動して……、わたくしは美咲と遊ぶつもりだったのに……。それもこれも全てセンリの……、悔しいー!」


花月は白露の袖を憎しみを込めて握り締める。ブツブツといつまでも悪態をつく花月にため息をつき、頭を撫でてやった。


「すぐに戻るだろう。それまで俺が相手をしてやるから、少しは落ち着け」

「白露とばかり遊んでいては、いつもと変わらないではないか。わたくしは美咲と……」


俯く花月は、いまだ小声で不満を漏らす。


「俺だって忙しい中、お前のために時間を割いているんだ。嫌なら俺は仕事に戻るぞ」

「嫌だ!じゃあ、久しぶりに手合わせしてくれ。最近ちっともしてくれなくて、身体が鈍って仕方ない」


花月は帯びに刺していた鉄扇を開き、白露へ向けた。
しかし白露はそれに手を伸ばし、元に戻すように閉じさせた。


「それは護身術の一つで、遊びではない。そろそろ、そういったお転婆な事は止めるんだ。お前だって年頃だ、結婚を考えなくてはいけないのだぞ?」


優しく諭す言い方に、花月は真剣な眼差しで白露を見据える。


「わたくしは結婚なんてしなくても良い。このままずっと過ごすんだ、白露とずっと一緒にな」

「花月……。このままと言うわけにはいかない、俺だっていずれは」


真っ直ぐ向けられた視線に白露は一瞬戸惑い、言葉を濁すと花月から視線を逸らした。


「どうした白露?」

「……なんでもない」





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あきゅろす。
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