道化の国
倭の国への招待2
「ユーマ、何処から湧いたのですか?」
「ずっと近くに居た!面白そうな事は、いつも俺は抜け者……」
ブツブツと愚痴を漏らすユーマに、マスカーレイドは尚も笑い続ける。
見つかっては仕方ないと、センリはユーマに手招きをした。
「ユーマも行きますか?」
「聞かなくてもわかるだろ!」
頬を膨らましていまだ納得のいかない顔するユーマに、センリはため息を零す。
そんな時、コツコツとヒールの音を鳴り響かせ、軽やかな髪飾りの音を奏でるマリカが遅れてやって来た。
「悪いわね、遅れて」
「いえ、急に呼び出したんです。すぐに来たマスカーレイドや、常に暇を持て余すユーマと違って、マリカは忙しいでしょう?」
センリは微笑んでマリカの登場を歓迎した。
しかしそれを聞いたユーマは顔をしかめ肩眉を吊り上げていて、マスカーレイドは酷いと嘆いて顔を両手で覆った。
そんな二人を無視し、マリカはセンリに話しかけた。
「それで……、楽しい事のお誘いかしら」
「花月から、倭の国への招待状が届きました。マリカもどうです?」
センリの台詞にマリカの瞳がキラキラと輝く。
それを見たマスカーレイドは一瞬怯んでしまい、口元をひくつかせる。
「ど、どうしたんだ……、マリカ?」
「だって倭の国に行けば、あの衣装を着れるじゃない!私、あの衣装着てみたかったのよ〜」
マリカはウットリと合わせた両手を片頬に寄せ、夢見る乙女の様に吐息を漏らす。
「別にあんなの着ても、変わらねーだろ。いい年して……」
「ユーマ、何か言った?」
夢見る乙女の顔だったマリカは一瞬にして様変わりし、ユーマは気配でそれを察知し、マリカに視線を合わせる事が出来ないでいた。
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