道化の国
倭の国への招待1
「倭の国に行く事、マリカ達にも教えてこなくちゃね」
「それは私がこれから会って来ますので、美咲は仕度をしておいてください。ゆっくりと滞在しましょうね」
「うん!」
鼻歌交じりに、美咲はクローゼットのあるベッドルームへ向かって行った。
「さて、マリカ達に会いに行きますか」
軽い足取りの美咲の背を見送り、センリはフィールドを後にした。
フィールドから出て早々にマリカをとマスカーレイドを呼び出すと、マスカーレイドが先に現れた。
「どうしたの?」
「花月から招待状が届きました」
センリは桔梗の花が描かれた封筒をマスカーレイドに渡すと、すぐに中身を取り出して読み始めた。
「……俺を連れて来るなって書いてるし。何、センリ達は倭の国に行ってくるの?」
「美咲が張り切っています。私達も行きますが、マスカーレイドも一緒にどうですか?」
マスカーレイドは一瞬呆気に取られるが、ハハッと声を上げて笑い始めた。
「花月は来るなって言ってるぜ?良いのかよ、俺なんか行って」
「私には、連れて来いとしか見て取れませんけどね」
センリは表情を変えず、サラリと言いのけた。
そんなセンリにマスカーレイドは身体を揺らして、笑いが止まらないでいる。
「俺は構わないけど、どうなっても知らないぜ?」
「貴方は花月と遊んでいてください。私は美咲と倭の国見物でもしてきますから」
「何だよ、単に花月を押し付けるつもりなのかよ。で、他に行くの俺だけなの?」
センリの言わんとしている意味を理解できたマスカーレイドは、そう言う事かと何度も頷いた。
「いえ、マリカも呼ぼうかと……」
「……俺は置いてけぼりかよ」
後方でセンリ達を覗き見るユーマが、恨めしそうな顔でジッと見ている。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!