道化の国
死の宣告
男達に捕らえられた美咲達。
美咲は青ざめた顔でいるが、花月は一向に気にする様子がない。
二人に近寄る男が、美咲の前でしゃがみ込んだ。
「希望の光……。なるほど、噂に違いないな。ククッ」
「イヤッ!」
舌なめずりする男が美咲に手をかけようとしたその時。
「美咲に手を出すな下郎!話が違うぞ!約束を違える気か!?」
花月は焦った様に美咲の側にいる男に食ってかかる。
「おやおや、こっちのお嬢チャンは随分威勢が良いな」
男はせせら笑い横に転がされてる花月に視線を向け、跪きながら見下ろした。睨みつける顔を面白がるように薄く笑い、花月の顎を持ち上げた。
「お前は倭の国の女だな、なかなか綺麗な顔してるな」
男の手を逃れようとソッポを向く花月の顎を力ずくで押さえて自分に向けさせるが、花月は男を睨みつけて口の端を上げて笑った。
「お前達、死ぬ覚悟はあるんだろうな」
「あ?お嬢チャン意味がわからないぜ。今のお前の状況わかってるのか?」
下品な笑い声を上げて男達は嘲笑う。
「お前は俺が可愛がってやる……。なぁ、――希望の光」
「じゃあ俺はこっちのお嬢チャンにしようか」
もう一人の男が美咲に近寄り、倒れた身体を無理やり起こす。
「貴様等、美咲に触れるな!」
「私にも、花月にも触らないで!センリ助けて――!」
美咲が叫んだ、その一瞬。
張り詰めた空気の中、風を切る音と共に切り裂かれた空間から細くしなやかな鞭が現れ、美咲に触れる男の首に巻きついた。
「美咲」
比類なき美しさで華麗に鞭を振るう姿に、美咲は魅入ってしまう。
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