[携帯モード] [URL送信]

道化の国
寝顔



眠れぬセンリは静かなフィールドで美咲の寝顔を見つめた。
声を漏らしながら寝返りをうつ美咲をセンリは愛しそうに眺め、顔にかかる髪をサラリと払う。


「今までにないくらいの時の長さを感じてしまいそうですね。美咲と一時でも離れていたくはないのですが、仕方ありません……」


美咲への慕情がふつふつと湧き、思いが募る。


「気持ちが通じ合っているのはわかるのですが、何故でしょう……。私は恋焦がれた少年の様に、美咲の事しか考えられない」


温もりを確かめるように、センリは美咲を抱き寄せ、鼓動を感じる。
腕の中で眠る美咲を、自分に溶け込ませるが如く。

強く、優しく抱きしめていた。


「センリ……?」

「おはよう美咲、良く眠っていましたよ」


瞳を擦る手をセンリによって遮られ、美咲の瞼にキスを落とす。
いつから起きていたのか、センリは涼しげな顔で美咲を見ている。


「私いつの間にか眠ってた……、ごめんね、もっと一緒に起きていたかったのに」


目を細め、センリは隣に横たわる美咲の頬に指を滑らす。


「良いんですよ、私はゆっくりと寝顔を堪能していましたから」

「……センリ寝てないの?」

「はい」


さも当然と言うように、センリは満面の笑みで答える。


「貴女をゆっくり見れませんから。美咲と離れるのが寂しくて、私の目に焼き付けておきました」


センリの言葉に嬉しくなる美咲は微笑むが、一抹の不安からそれに影を落とした。


「寝ないで行って大丈夫?」


美咲は頬を撫でるセンリの手に自分の手を重ね、少し心配そうに顔を曇らせる。


「美咲がいるから大丈夫、貴女がいれば私は生きていけます。さぁ、そろそろ白露達と合流しなくてはなりませんから、仕度をしなければ」


センリに促されて既に用意されていた服を着込み、センリとの暫しの別れを惜しんだ。



[*前へ][次へ#]

9/26ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!