怯える女の子は、先ほどまでセンリ達の手にかかった鬼達の断末魔を聞いて、恐怖で震え上がっていました。 「貴方達は……誰?」 「私はセンリ、鬼退治に来ました。貴女の名前は?」 「私は美咲、さっきまでの悲鳴は一体……。貴方達なの?」 「……」 センリは一瞬にして美咲に心を奪われてしまい、言葉を発せなくなっていました。 怯える瞳は涙目になり、潤む瞳が真っ直ぐセンリに向けられる。 美咲の震える姿にセンリは居ても立ってもいられず、ゆっくりと美咲に近付きました。 静かに跪いて目線を合わせると、センリは目を細めて言いました。 「私ではありません。私の連れが鬼に何かしたのでしょう」 「そう、なの?」 不安そうな瞳で、美咲はセンリの後ろにいるマスカーレイド達を見る。 その不安を取り除くように、センリは美咲の頭に掌乗せた。 「はい、私はそんな野蛮な事はしません。それとも、そんな乱暴な事をする様に見えますか?」 センリの優しさに満ち溢れた笑顔に、美咲は強張る身体から緊張がゆるりと解ける。 「いえ、貴方はそんな事をするようには見えません。あの方達が鬼を?」 センリの影から不審そうにマスカーレイド達を見る美咲は、恐怖を拭いきれないでいました。 「センリって酷いよね。俺達だけを悪者にしてさ、自分ばっかり良い人ぶってる」 呆れるマスカーレイドに見向きもしないで、マリカは部屋にある金銀財宝を見つけ、ユーマはご馳走の山を目の前に興奮していました。 「もしかして、これって都から盗まれた財宝じゃない?」 「食い物が一杯だー!!」 マスカーレイドは苦笑いをしながら、額に手を当てため息をつきました。 「まぁ良いか」 |