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道化の国
道化の桃太郎5



怯える女の子は、先ほどまでセンリ達の手にかかった鬼達の断末魔を聞いて、恐怖で震え上がっていました。


「貴方達は……誰?」

「私はセンリ、鬼退治に来ました。貴女の名前は?」

「私は美咲、さっきまでの悲鳴は一体……。貴方達なの?」

「……」


センリは一瞬にして美咲に心を奪われてしまい、言葉を発せなくなっていました。

怯える瞳は涙目になり、潤む瞳が真っ直ぐセンリに向けられる。


美咲の震える姿にセンリは居ても立ってもいられず、ゆっくりと美咲に近付きました。
静かに跪いて目線を合わせると、センリは目を細めて言いました。


「私ではありません。私の連れが鬼に何かしたのでしょう」

「そう、なの?」


不安そうな瞳で、美咲はセンリの後ろにいるマスカーレイド達を見る。
その不安を取り除くように、センリは美咲の頭に掌乗せた。


「はい、私はそんな野蛮な事はしません。それとも、そんな乱暴な事をする様に見えますか?」


センリの優しさに満ち溢れた笑顔に、美咲は強張る身体から緊張がゆるりと解ける。


「いえ、貴方はそんな事をするようには見えません。あの方達が鬼を?」


センリの影から不審そうにマスカーレイド達を見る美咲は、恐怖を拭いきれないでいました。


「センリって酷いよね。俺達だけを悪者にしてさ、自分ばっかり良い人ぶってる」


呆れるマスカーレイドに見向きもしないで、マリカは部屋にある金銀財宝を見つけ、ユーマはご馳走の山を目の前に興奮していました。


「もしかして、これって都から盗まれた財宝じゃない?」

「食い物が一杯だー!!」


マスカーレイドは苦笑いをしながら、額に手を当てため息をつきました。


「まぁ良いか」




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あきゅろす。
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