また少し歩くと、雉の羽根で出来た扇子を苛々した様子で扇ぐマリカに会いました。 「ちょっと、何でこんなに暑いのよ!……あら皆揃ったのね。さぁ行くわよ、鬼が島へ!」 音を立てて扇子を閉じ、マリカは意気揚々と先頭を歩き始めた。 「それは私の台詞では」 センリの言葉は誰にも届かず。 肩で風を切るマリカに、マスカーレイドとユーマはついて行きました。 鬼が島は、海に浮かぶ孤島。 近くの漁師から小さな舟を借り、不気味な暗雲漂う鬼が島へと向かいました。 「ユーマ、もっと力強く漕いでよ。ほら、もっとこうやって……」 マスカーレイドは、櫂を持つふりをしながら漕ぐ真似をしてユーマに手本を見せました。 「んな事言うんだったら、テメェで漕げよ!俺にばっかり力仕事やらせんな!」 「血の気も力も有り余ってるのですから、平気でしょう?」 涼しい顔のセンリを睨むユーマだが、悔しいかな、本当の事なので何も言えませんでした。 そうこうしている内に、舟は鬼が島に近付いていきます。 「あはっ、流石ユーマ。もう着いたじゃん、結構余裕だな」 「本当、ユーマお利口ね。後で頭を撫でてあげるわ」 「それ以外で何も役に立たないんですから、当然です」 皆は口々に勝手な事を言い、ユーマは苛立ちを募らせます。 鬼が島に着いた一行は、砂浜に舟を乗り上げさせて島に足を踏み入れました。 「薄気味悪い島ね。早いとこ鬼退治に行くわよ」 「おー!苛々して仕方ねぇぜ」 意気揚々とマリカとユーマは島の奥へと進みました。 「ですから、マリカ。私の台詞を取られては喋る隙がないじゃないですか」 「興奮してるマリカは誰にも止められないって」 |