「ついに来ましたね……」 センリは封書から出した便箋を眺め、大きくため息を漏らした。 何事があったのかと美咲はセンリに駆け寄った。 覗き込む美咲に、センリは便箋をソッと手渡した。 「……サーカス開催のお知らせ?」 険しい表情をするセンリは、力なく頷く 「私はお留守番……だもの。大人しく待ってるからね」 無理に作られた笑顔にセンリは胸が締め付けられ、隣に佇む美咲の身体を抱き締めた。 「寂しい思いをさせます……。少しの間、待っていてください」 「うん……待ってる」 寂しいのは美咲ばかりでなく、センリも同じ気持ちで。 いつも一緒にいた人が、居ない喪失感。 センリは美咲と出会う前に感じていた孤独感に悩まされるのかと思うと、息苦しさを覚える。 しかし自分が不安な色を見せれば美咲まで不安にさせてしまうと思い、慈愛を含んだ微笑をみせた。 「すぐに帰って来ますからね」 美咲の顔を胸に埋め、互いの鼓動を感じ合う。 お互いが抱える不安な気持ちを、掻き消す様に。 |