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道化の国
存在価値


情交を終えて力なくグッタリと気を失う美咲の身体を、温かなタオルで綺麗に拭いた。

先ほどとは打って変わってセンリは申し訳なさそうに、美咲の肌を撫でる。


「すみません……。いつも無理をさせてしまって」


視線を落とせば、まだ火照り引かぬ顔の美咲が眠っている。

ベッドに入って美咲の身体に密着させて、露になっている肩にキスを落とす。微熱を纏った美咲の体温が、センリに一時の安らぎを与えた。


ゆっくりと瞳を閉じ、居心地の良さに気持ちを奪われながら、一人内省する。


他の人には異様にも見えるでしょう。

美咲に依存している私が。


私にもわからないのです。

こんなにも狂ったように、一人の女性を求めると言う行動が。


それが証拠に、何度と精を吐き出しても衰える事はなく。
いつも美咲が気を失うまで、私は攻め続けてしまう。


もどかしく思う自分がいて。
嫉妬に駆られて、自分のコントロールが出来ていない……。

頓に(とみに)それが、酷くなっている気がします。


目茶苦茶に壊してしまいたい、狂気じみた衝動に駆られる私がいる。


貴女が一瞬でも私から逸らされる、視線のその先。
私以外に笑みを零す貴女。

心を鷲掴みされる様に、締め付けられる。


貴女の笑顔はとても好きです。
……しかし、やっぱり寂しいのです。

私だけに向けられていれば……と思ってしまう私は、傲慢な罪深い男。


一度知ってしまった光は、簡単に手放すなんて出来ない。

美咲は肉体の一部。私の心臓。

貴女無しでは、生きてはゆかれない。


本当ですよ?

貴女がいるから、私の存在価値があるのです。



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あきゅろす。
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