道化の国での生活に慣れ、センリとの穏やかな一時を楽しんでいた時。
「美咲」
「なに?センリ」
ソファからセンリがおいでおいでと、美咲に手招きしている。
何ら不信がる様子見せず近寄ると、腕を引っ張られセンリの腕の中に囚われる。
「エッ、ちょっ――」
「美咲」
耳元で囁かれる自分の名前が、とても甘美な響きに聞こえ背中が震えた。
「っん、セン……リ……なに?」
「私の香りに……溺れてください」
「……え?な……っふんん」
会話を遮るように、センリが美咲の唇を塞ぐ。
深く角度を変え、息もつかせぬような熱いキスを繰り返す。
「んはぁ、セ、ン……」
「私の香りは香水ではなく、一種のフェロモンなんです。美咲があまり慣れると面白くないので、今まで加減してたんですが……今日は全開でいきます」
センリからの熱い口付けで身体が火照っている中、快楽の香りが立ち上る。
「……はぁん、……ぁ……ふ」
「最高の快楽に誘ってあげます」
ほくそ笑むセンリは自分にしだれ掛かる美咲を抱き上げ、ベッドに移動した。
妖艶な横顔を見せるセンリはとても綺麗で、美咲は息を荒げながら心奪われる。
首元を緩めるしぐさやワイシャツのボタンを器用に外す動作に、美咲は瞳が離せなかった。