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道化の国
愛の証


「それでは証を……」

「証?」

「見ていて下さい、怖くないですからね」


微笑んだセンリは美咲の左手を持ち、薬指を触りながら口ごもる様に呟き、細い指に唇を落とし紅い舌で舐め上げた。


「あっ……何……」


指に感じるセンリの唇や舌の熱い感触に、思わず声が出る。


「動かないで、もう少し……待っていて下さいね」


舌の動きに身悶えながら待つ美咲は、顔を紅潮させ声を出さないようにと、涙目になっていた。


「そんな顔しないでください、我慢……出来なくなります」


なおも執拗に舌を這わせるセンリは、瞳だけを美咲に向ける。


「そろそろですね」


今までセンリの口元にあった薬指が、淡く光る。
一瞬だけ紅く閃光すると、指に吸い込まれる様に消えていった。

光の消えた薬指には、真紅の石がついた銀色の指輪がはめられていた。


「これで終わりです。貴女は私のモノです」

「これ……」

「それが証です。リングを通じて私は貴女を感じることが出来ます、何処にいてもです。それと、私のモノだと知らしめる為の印でもあります」

「モノ……」

「あっ……と……、言い方に御幣がありましたね。私の唯一無二の希望の光、誰も触れてはいけないと言う意味です」


センリは申し訳なさそうな顔で微笑すると、美咲の手を握り締めた。




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