天には薄明るい空の絵が、ぼんやりと浮かび。 地上にはあちらこちらに燈された、赤橙揺らめく蝋燭や、金茶が柔らかなランプの灯が仄暗さを強調していて。 シーンと静まり返る、石畳の通りを歩く人影は仲睦まじく指を絡ませ、寄り添い合うセンリと美咲。 そんな二人の、道化の国の物語。 縁のある人は私の瞳に映り、相手からも見える。 逆を返せば、縁の無い人は絶対に見る事が出来ないと。 だからなのか、それほどこの国の住人とは、出会う事がなかった。 初めのうちは、マリカ達しかいないと思ってた。 街を歩いていても閑散としていて、誰にも会わないから。 センリと二人きりの世界だと思えるくらい。 どこにいても、甘い時だけがゆっくり流れているかのようだった。 しかし、それが今では。 |