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道化の国
愛の契約


センリは美咲の答えを、優しく髪を撫でながら無言で待つ。

しばしの沈黙の後、美咲はためらいがちに口を開いた。


「ねぇセンリ」

「はい」

「私ね、センリに溺れるのが怖いの」

「……はい」

「自分が自分でなくなるぐらい、センリに溺れそうで」


ゆっくりと言葉を紡ぐ美咲に、センリは黙って頷く。


「でもね……溺れても良いから、センリに触れたいの」

「それは……」

「私がセンリの側にいても良いの?」


センリは一瞬身体を硬直させ、美咲の言葉に酔いしれる。一番望んだ台詞を言ってくれた事に、センリは身体を甘い痺れが支配する。


「美咲……良いのですね?撤回すると言っても聞き入れませんよ?」


横たわる美咲の身体を起こし、センリの腕の中に包み込む。


美咲は肯定する変わりに、センリの背中に手を回し、胸に顔を沈めた。






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