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回す腕3


「ゃ…は、あっ――あっ、あ、あ…ぅ!」


上がる欲に溺れた艶めかしい声に行為を示唆する粘ついた水音――その全てが僕を煽り、行為を加速させる。


「――はぁ…」


敏感な彼女の身体は経験が浅くとも十分過ぎるほど巧みに男を食んでいる。きつくありながら包み込むように蠕動する内部に少しでも気を抜けば果ててしまいそうだ。

貫き、出入りを繰り返す度に汗と一緒に肌を伝うお互いの性が床に零れていく。


「っ…本当に君は、淫らですね…。そんなに吸い付いて――僕を離そうとしないんですから…!」

「ひぁ…ん、違っそんな…事っ――ぅんあ、もっ…んんっ!」


否定を口にする望美さんの感じる場所を重点的に突くときゅっと更に僕を締め付けてくる。


「――くっ、望美さ…っ」


びりびりとした刺激が背筋に昇った。

彼女の中の甘美さは僕の頭をぼやけさせ、理性も何もなく牡として目の前の肢体を犯させる。


「っ…あ、あっ、あぁっ――べんけぇ…さ、ぅ…!」


漏れる喘ぎに口付けで濡れた唇は僕の名を呼んだ。

たらたらと零れ落ちる唾液は滲む汗と混じり合い、白い肌を汚していく。

僕は誘われるままに薄く開いた唇に再び吸い付いた。

全てが自分の物だと知らしめるために深く…深く絡め、埋まる張り詰めた自身を一際強くねじ込んだ。


「ん、んっ、ぅんんんー!」

「っ…!」


声を奪われたまま上り詰めた望美さんはビクビク震えて腰を反らし、きゅっと僕を包み込む。それに引きずられて我慢する事もなく僕も達し、精を奥に叩きつけた。


「っふ――」

「んっ…ふっん、んんぅ――」


数度強く最奥を突くと絶頂感に恍惚としながらどくどくと白濁の液が中を侵していくのを感じる。

彼女の肉を犯し、彼女がまだ手の内にある事に安堵した僕はゆっくり望美さんの唇を解放した。


「…望美さん」


零れ、跡を残しながらも未だに流れる涙を優しく舐め取り、小さく嗚咽をあげ出した望美さんの髪をゆっくりと梳いた。

大事にしたくて、誰にも見せたくない。

相反するようでどこか繋がる二つの感情は交わらせてはいけないものだ。

本当に相手を思うなら手を離し、側で慈しむ――それだけで良い。…分かってる。

けれど誰にでも別け隔てなく微笑む彼女は、そんな僕の心を酷くかき乱すから…こんな風に組み敷いて無茶苦茶にしてしまいたくなってしまう。

独占欲であり、支配欲であり、破壊欲でもある男の欲は余りに幼い…。


「――すみません…。でも君がいけないんですよ、僕を妬かすから…」


頬をなぞる唇を離し、近付けるを繰り返し…短い口付けを何度も何度も降らせた。

それは交わりの後の愛しさを告げるものであり、酷く扱った事への懺悔でもあった。

望美さんは嗚咽を漏らしながらも何とか僕の言葉を反芻する。


「ぅっ…ぇ――妬、く…ぅっ…?」

「えぇ――今日の夕刻…玄関先で随分長い間男と抱き合っていたでしょう…?僕と言う者がありながら他の男に肌を許すなんて――」


蘇る光景――それだけでもこんなにも苦い。

すると望美さんは目を大きく開き、涙に溺れながらも声を張った。


「あれはっ、誤解です…っ!弁慶さんの言ってたお薬を取りに来、た患者さんがっ…貧血で、倒れたのを支えてたんです…ぅ」

「……え…」


そう言えば幾日か前、庵で次は直接家に薬を取りに来ると言っていた方がいて…望美さんに来られた時は頼みますと薬を渡しはしたが…。

ぐずぐずと零す涙が彼女の頬を伝っていく。


「――っ、てっきり僕は君が…」


確かに、覆い被さるように望美さんに抱き付いてるなとは思ったけれど…望美さんの手には必要以上に力が籠もっていて…あれがずり落ちないように掴んでいたのだとしたら抱擁とは言い難い。


「浮気でもしてると思ったんですか…!?酷いです、弁慶さん…っ。こんなに――こんなに私には弁慶さんだけなのに…!」


眉間に皺を寄せ、嘆く望美さんの瞳は涙に彩られていながらも綺麗で、一途な想いが込められている。

…信じていると言いながら信じられなかった自分が情けない。

望美さんを愛しているからこそ感じる嫉妬だとしても乗り越えられず、傷付けた事に申し訳なさが募った。


「望美さん、本当にすみません…。見知らぬ男に抱き締められている君を見たらカッとなってしまって――僕の心は君だけの物なのに望美さんにとっては違うのかと思ったら何だか我慢出来なくて…」

「……っ私、信用…、出来ませんか?」

「いえ――君の事は僕自身より信用していますよ。けれど…こう言うのは別みたいで――理性で止められる訳ではないようです。君の全ては僕の物だと独占欲が湧き出て来てしまって…」

「……」

「愛してます、望美さん。感情のままに酷く抱いてすみませんでした…。でも僕は君に嫌われたら生きていけません…だからどうか――どうか許して下さいませんか…?」


心からの謝罪だ。

勘違いだと頭の隅で理解していても感情から事に及んでしまった。稚拙で短絡的な行為は簡単に許されるべきじゃない。

けれど望美さんは嗚咽を抑え、涙を拭いながら困ったかのように微笑んだ。


「……もうこんな事しないで下さいね?嫉妬してくれたり、独占欲を感じてくれるのは嬉しいですけど…あんなのは嫌ですから」

「っ、ええ!――ありがとうございます、望美さん…」


寛大な彼女に申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちが入り交じり、ぎゅっと組み敷いたままの身体を抱き締めた。

汗ばんだ肌は柔らかく、華奢な彼女は小さく未だ熱い。


「――あ、の…。じゃあ、もういいですよね?そろそろ抜いて下さい…」


話しながらも放った時から中に入りっぱなしの僕に身を捩り、望美さん恥ずかしそうに懇願をした。

しかし愛しさが溢れてきた僕にはそんな気は毛頭起こっては来ない。


「いいじゃないですか…このまましましょう?――あぁ、ここは板の間で身体が痛いですね。…褥の方に移動しましょうか」

「ちょっ…弁慶さんっ!?ぁっ…」


繋がりを切る事なく、望美さんを抱き抱えて僕は作りかけた薬と書面が散らばる部屋を後にした。






******






「そう言えば弁慶さん今日は早く終わってたんですよね?」

「ええ…つまらない誤解などしなければ君ともっと濃密な時間を過ごせたのですが――」


あれから布団で何回もしたし、十分だと思ったが話す弁慶さんは凄く悔しそうだ。

あんな暴挙に出ないでくれれば正直妬いてくれるのは嬉しいし、反省してくれたようなので責める気はもうない。

それより帰って来たのは深夜とまでは行かないがかなり遅い時間だった。一体何をして時間を潰していたのか…。


「それまでどこに行ってたんですか?」

「ああ――余りに苛々したんで九郎と景時の所に行って当たり散らして来ました」

「!!」


あの弁慶さんの鬱憤の捌け口にされる九郎さんと景時さん――想像が出来ないくらい物凄い事をされてしまったのではないだろうか…。


「……明日謝りに行きましょう…」

「はい」


同じ布団に横になる私の頭にすりすりと頬擦りをする弁慶さんは上機嫌で…犠牲になった二人に心中で詫びた。










キリリクにお応えする過程に出来た副産物。こねくり回しまくってもうこのブツよく分からん…。

嫉妬物にしてはちょっとヌルいですよね?弁慶さんなら…こう…もっとこう…(なんだ)

うーん。リベンジリベンジ!




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あきゅろす。
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