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望まぬ想い3


口には出来ない想いを胸の内で呟き、つぷ…と秘華に少し先を押し入れた。


「――ふっ、ぁ…ん」


それだけで敏感に収縮する望美さんの中に痛みがましになれば、と徐々に侵入を図ろうとした想いが揺らぐ。

「…っ…はぁ…」


ただの呼吸が熱を持ち、自然に漏れる声が興奮した自身の様子を表した。

今すぐ――奥まで貫きたい…。

自分の手で乱れた愛しい人と一つになれる。心は繋がっている訳ではないけれど…それでも男の性が僕を苛んだ。

早く、早く彼女を味わいたいと気持ちが逸る。


「――っ」


途切れそうな理性を何とか繋ぎ止めて蠕動する内部にゆっくりと陰茎を推し進める。

熱の為か…それとも滾る血のせいか熱い彼女の身体を引き寄せて時折、解すように自身を動かせば接合部から濡れた音が漏れた。

くちゅくちゅと…普段聞く事のない艶声を楽しんで分け入る媚肉は余りに魅惑的だ。


暫くすると熱り立った物が何かに押し当たる感覚に息を止める。

そして今度こそ本懐を遂げるべく勢いを付け、根元まで自身を突き入れた。


「っ――!!」


声に無き声をあげる望美さんの中からは破瓜の血が赤く透明の液に混じり、流れ出てくる。

清い神子を汚したとしてもこれで彼女の身体は僕の物…。

痙攣する望美さんに何度も口付けを落とし、恐らく身を裂いているだろう痛みが落ち着くのを待った。

ぎゅうぎゅう締め付けて来る膣内に動いてもいないのに額に汗が滲む。


「……大丈夫ですか、望美さん…?」


少し中の圧迫が緩み、呼吸が落ち着いて来たので問い掛けるも返事はない。

きっと余りの出来事に思考がついていかないのだろう。

再び優しく彼女に口付けを送ると緩く腰を動かした。


「っぃ…た――ん、く…ぅっ…は、ぁ、あっ…」

「…っぅ――」


途端に背筋に走り抜ける強い快感が大きく開かせた足の間で擦り合い始めたお互いを助長させる。

刺激されると余計に痛むのか…顔を歪めていた望美さんだったが緩く突き上げる度に声が少しずつ色を取り戻していく。


「――は、ぁん、…あっ、ふ、あっ、あ…!」


灯籠の僅かな光に照らされて壁に重なる影が映し出されている。

僕はずっずっと出し入れを繰り返し、何かを探るように陰茎を華筒に沿わせて旋回させた。


「ひ――ぅんっ!」


奥を貫き、膣壁を擦ると望美さんが激しく反応を示す。

それに僕は静かに確認の言葉を口にした。


「君の感じる所はここ…、ですね?」

「あっ…駄目――そこ、ゃあっ…はああっ!」


ずんと強く突いてやると望美さんは白い喉元を曝け出し、仰け反った。


「――くっ…!?」


しかし僕に絡み付いてくる肉壁の余りの感触の良さに瞬間達しそうになり、動きを止めた。

息を整え、やり過ごすと浮かんだ汗がぽたりと望美さんの胸元に落ちる。


「……っふ――ふふ…。中々やりますね、望美さん…」


小さく呟くともうお構いはなしだとばかりに打ち込み始めた。

律動を速め、見つけ出した箇所を強く重点的に穿つ。


「ひっ――ぁ、や…っあ、あああ…っ!」


過ぎる刺激に信じられないと喘ぐ望美さんの足を肩にかけ、結合部を晒した。

膣口が食み、男の欲望が飲み込まれて行く様は何とも淫らだ…。

そんな様子を見ていると僕にも段々と余裕がなくなり、求めるまま夢中で彼女を貪った。


「望美さんっ…望美さ――っ」

「ふ…ぁっ、…も、――ぅ…ぁ、…あぅっ、んっ、ああ――!」


昂ぶる情交を速さを増していく律動に身をまかせて腰を振り合い、互いに昇り詰めていく。

千切れた理性はもうありはしない。

自分が犯している罪も彼女に対する良心の呵責も全ては本能に飲み込まれ、とうにかなぐり捨てている。

それもまた背負うと決めた咎――。


「も…ふぁっ――も、もう…、駄目――だ、めぇ…!」


初めての性交にも関わらず、絶頂を迎えようとしている望美さんは迫る限界を髪を乱して訴えた。

その言葉を紡ぐ空気を求めて開いた愛らしい唇を再び塞ぎ、更に突き上げを強くて彼女を促した。


「いいですよっ――イって下さい…!」

「ぃ…くぅ――!っも…ぃっ…っあんっ、ああっ――ふ…。すきぃ――――九郎、さ…」

「――ッ!!」


彼女の口から出た名前に夢にたゆたい、熱く昂ぶっていた脳が冷水を浴びせられたかのように急に冷えた。

――僕が九郎と呼べと言ったのだ。

身代わりに…、と。望美さんを唆し、純粋な想いを利用して彼女を犯している。

その隠された瞳の奥で誰に抱かれようと望美さんの自由で…元々、そう言う約束だった。

しかし――今、彼女を抱いているのは九郎でも何でもなく……僕だ。

愛しさに支配されていた身の内は瞬時に酷薄なものに変わった。

それは憎しみと悔しさの――紛れもない嫉妬心…。

それらが身を包み、突き上げられる快感に意識を浸す望美さんの瞳を塞ぐ帯に手をかけ―――取り去った。

不意に明かりが目に刺さり、眉を潜めた望美さんが薄らて瞳を開く。

翡翠の虹彩が僕の顔をぼんやり見つめ、覚醒したかのように突然見開いた。


「――弁、慶…さ、ん……」


――ああ…涙に滲む瞳はやはり美しい。それが戸惑い、暗く染まりつつあったとしても…。

満足した僕は笑み、これが最後だと力任せに揺さ振りを激しくした。


「っは…ゃ、あ――や、やめ……やだっ、ああああッ!!」

「く――ぅっ……」


誰に抱かれているか改めて認識しながらも高められた身体は簡単に達し、引きずられて僕も埋まる彼女の中に精液を放った。

引き抜く気はない。これで子が出来るなら…彼女が真の意味で僕の物になるのだから。

ずくっと数度奥に流し込むように陰茎をねじ込むと望美さんはその感覚に身体を痙攣させた。


「は…、ぁ…」


射精を為した恍惚感に僕は息をつき、意識がかすれ始めた彼女の身体を抱き締めるように身を預けた。






*****






じっと見つめる視線の先には今後の平家の動向について景時さんと話す九郎さんの姿。

鮮やかな髪に隠されながらも凛と伸びる背は意志の強さと想いの一途さを示している。

声をかける事なく、ただ私はその後ろ姿を見ていた。


「望美さん」


聞き覚えのある声にビクリと全身を震わせる。

視線を巡らすとそこにはいつもと変わらない微笑を浮かべ、外套を羽織る弁慶さんが立っていた。

スッと音もなく近寄り、隣に立つと更に笑みを深めて顔を覗き込んできた。


「――こちらにいましたか。先ほど朔殿と白龍が君を探していましたよ。……行きましょう?」


耳に落とされる囁きは優しい。


「身体は――大丈夫ですか?薬湯を飲んではいても風邪の病はひき始めが肝心なのですから冷やしてはいけませんよ…?」

「はい…」


促す弁慶さんの手は腰を抱き、私を自然に歩き出させた。



――引き付けられたままの目を離すように、強く。








要望があれば続きも書きますが…弁慶さん報われなさそうです。




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あきゅろす。
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