バンドしてみた
1
「次はぁ・―――『六聖獣』!!」
司会進行役が叫ぶと、ライブハウス内に歓声が響く。
暗くなっていたステージに人影が現れる。
「ユダァーーー!!!」
一際大きい声で叫んでいるのは、シヴァだ。
カ・カ・カ・カ・カ・カッ・・
ステージが明るくなって、一曲目が始まった。
♪光る風 雲は流れ・・・♪
赤い髪の長身ユダと
赤と青の瞳のゴウが 歌っている。
♪・・・どこまでも 永遠に♪
一曲目が歌い終わった。
「ちわぁ!『六聖獣』だぜ。じゃ、メンバー紹介!」
ステージ上で一番小さなガイがゴウのマイクを奪って勝手に始める。
「おいおい。リーダーはユダだろう?」
「いいじゃん☆」
「・・メンバーを紹介しようか。まず、ドラムのシンだ」
ゴウがガイを小突いている横でユダは先に進める。
「今日は。ドラムのシンです。今日は楽しんでいって下さい」
ユダからマイクを受け取ったのは知的な眼鏡を掛けたシンだ。
丁寧にそう言って、マイクをユダに返す。
「次にいこう、次はベースのルカだ」
ジャアーン。低音を響かせてから、
「ベースのルカだ」
額にターバンを巻いたルカはそれだけ言った。
「次はギターのレイだ」
キュイーン。さっきのより高い音を響かせる。
「こんにちは。ギターのレイです。是非楽しんでいって下さいね」
にっこりと笑う、赤い服を纏ったレイ。
「さ、次いいか?もう一人のギターはガイだ」
ユダが言うと、ゴウから奪ったマイクを握り締めて
「オレ、ガイ!楽しんでいってくれよな」
ピョンピョンと飛び跳ねてガイが言う。
「で、ボーカルの・・」
「ゴウと」
「ユダだ」
「これで、メンバー紹介は終わったな?」
「えぇ!オレまだ何かしゃべる!」
またしてもマイクを奪おうとゴウに飛び掛るが、かわされる。
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