『忘れがちの娘』


とある町に

何もかも忘れがちな女の子がいた

早起きすれば
目覚まし時計は鳴り放し

顔を洗えば
水は出しっ放し

朝食を食べ終わるまで
冷蔵庫は開けっ放し

買って貰った玩具で遊ばせれば
散らかし放し

家事のお手伝いを頼んでも
布団は干しっ放し

怒ったお母さんは

女の子に一本のペンを渡した

このペンで手のひらにでも
忘れないように文字を
書いておきなさいと

暫く女の子の
忘れ癖は治ったが

それはペンのインクが
切れるまで

インクが切れても
忘れがちだった女の子は

手に 腕に 肩に

真っ赤に染まるまで

文字を書き続けた

結局何日経っても
そのままにしっ放しだったので

女の子の左腕は
ボトリと音を立てて
腐り落ちた



あきゅろす。
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