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甥っ子めぐたん
3


「風呂上がったぞぉ。お前もとっとと入っちゃえ」
「はい。これ終わったら入りますね」
「おぉ、ありがとな」

食器を洗うめぐみの後ろを通ってベッドに座る。
布団を敷くなら間取りからいって、ちゃぶ台を端に寄せるしかない。面倒くさいが理性と本能が接戦だから致し方ない。

髪をガシガシ拭きながら思案する。ふと視界の端に点滅する光を捉えて目を寄せた。

って携帯ほっぽってあるし
やっぱ俺の裸体を拝まないための口実づくりか

部屋の片隅に放置された携帯電話。さっきまで熱烈に相手されてたのに、俺が服着た途端にこれだ。
それの持ち主は水出し麦茶をつくるのに一生懸命。手を伸ばして光の送り主を見てみたい。

今なら気づかないはず…

「秀明さん?コンタクトでも落としちゃいましたか」
「うおおわぁッ」
「ひゃっ」
「どぁ!痛ッて」

すぐ後ろでした可愛い声に、だいの大人が四つん這いで跳び上がる。その拍子に足の小指をガツンとやって悶絶した。

「うおぉ、この小指ってのがまた痛さ倍速ッ」
「ごめんなさい!大丈夫ですかっ」
「何でめぐみが謝るんだよ…ッ」
「冷やした方がいいかなぁ。氷と湿布どっちがいいです?」

いやいやいやいや
めぐみちゃん それはダメだ

「めめめぐみ…おま、お前ッ」
「え?」
「わざわざ着替え中に来なくいいからっ!」

いつの間に着替えに取りかかっていたのか。
“誘ってんの?”って言いたくなるほどあざといチラリズム。血の色を透かせた真っ白な太ももが目の前にある。

触れたいってか舐めたい。舐めたいってかむしゃぶりつきたい。
危険な思想にとり憑かれて小指の痛みも吹き飛んだ。でも心配気に覗き込む甥っ子のシャツが太もも限界。

「やっぱり冷やした方がいいかも…少し触っても大丈夫ですか?」

だから限界なんだって

「ちょっ!ダメだっ、屈むなっ!屈んじゃいけませんっ」
「えと…立ちますか?」
「だあぁッ!その角度もいいっ、違うちがう!俺は平気だから風呂入ってこいっ」

乱心した俺をポカンと見つめるめぐみ。
俺の意味不明な要望に素直に応えた結果が中腰体勢。まぁるい膝頭と太もものプニプニ肉が惜しげもなく注目の的だ。

正しく言うと俺の注目の的だ

「じゃあお風呂行ってきます…何もできなくってすみません…」
「だからお前が謝るなって。早くしないと風邪引くぞ」

ショボンと呟いて後ろを向く。その両手がクロスしてシャツの裾を持ち

「あ、あの…秀明さんの好きなドラマやってますよ」
「んぁ?」
「えと、だから、その…ドラマが…」

上げられずにうつ向く。
薄い肌から血の色が一層濃くなって見える。シャツの裾を握る手が羞恥の色合いに染まっているのが、後ろ姿でも予想できた。

さっきまで生足チラつかせていたくせに
俺から近づこうとすると震えだすから不思議だ

「おぉ、忘れるとこだった。4チャンだっけなぁ」
「8チャンネルですよ」

白々しい返答にもクスッと笑って答えてくれる。
テレビ画面を見ながらも絹擦れの音が気になってしょうがない。必要以上に熱烈に画面凝視しすぎて目が痛い。

パサリとまだ温い衣服が落ちる音。ドアノブを回す音。
最後にイカれた蝶番の音がして、ようやく安堵できた気がした。



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