[通常モード] [URL送信]

甥っ子めぐたん
5


眠れない
律義に羊を244匹数えてみたけど眠れない

人肌なんて高1の脱童貞の時から何度となくあったのに

あぁ…眠れない



揺さぶられる感覚に脳が拒絶を表す。引っ付いて離れない目蓋に、覚醒しかけた意識はまた奥深くへ…

「秀明さん、朝ご飯できました。起きてください」
「あ……?」
「朝です」

こじ開けた視界に学生服でフライ返しを持っためぐみがいた。眠れないとか思いつつガッツリ寝てたらしい。

「おはようございます」
「…おはよ」

挨拶もそこそこ目覚まし代わりの携帯に手を伸ばす。ディスプレイには設定時刻5分前の時間が刻まれていた。

ほんとよくできた子だよ
でもフリフリエプロン

柳腰にとまる蝶々結びに違和感がまるでない。顔を洗ってちゃぶ台に着くとそこには湯気の昇るトースト2枚とベーコンエッグがあった。
そしてその横には学生鞄と見知らぬ携帯電話。

「朝はご飯かパンかわからなくて…結局トーストにしちゃったんですけど食べられますか」
「ヨユー」

ほんとは食べない派だけど

「よかったぁ。じゃあ食べたら流しに浸けておいてください、後で洗うんで」
「了解。でわ」

ご一緒に

「いただきます」
「行ってきます」


行っちゃうのかよ?!

めぐみは笑顔で学生鞄と携帯を持って玄関へ。まだ登校時間には余裕がありそうだけど。
忘れずにエプロンを外す後ろ姿へ質問を投げかける。

「ちょっ!お前は食べないのかよっ?てかもう学校行くのか」
「さっき先に摘まんじゃったんです。学校はちょっと遠くなったから早めに出ようかなって」

俺の職場はチャリで20分ってとこ。だから1時間も前に起きれば十分に間に合う。
朝飯食べなけりゃ。

一方めぐみの通う学校からは離れてしまったらしく、もうドアノブに手をかけて登校寸前だ。

「あ〜マジごめんな。めぐみにばっか色々やらせちまって」
「そんなっ、やりたくてやってるんです。先に出ちゃいますけどお仕事頑張ってくださいね」

「ん…」

ビー玉みたいな瞳と白い頬が見えなくなってしまう。そのまま薄い肩が早春の朝日に包まれてしまう、その前に

「めぐみっ!」
「?…はい」

「俺が送って行くからちょっと待ってろっ。そんで朝飯はしっかり食え、んな細いんだからぶっ倒れるぞ」
「え、でもあのっ…」
「うだうだ言ってねぇで朝飯くらい一緒に食べんだよっ」

強引に掴んだ手首はほんと細くて心配になる。そして何より心配な俺のお節介は

「はい、一緒にいただきますっ」

めぐみの照れた笑顔に救われた。


その後はご機嫌麗しいめぐみが包丁と皿を持ってきて。ベーコンに跨がる黄身がトロリ2つに分かれた。

2人で食べる半分のベーコンエッグと1枚づつのトーストは少し冷めていたけど、とてもあたたかかった



[*前へ][次へ#]

5/6ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!