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甥っ子めぐたん
4


「あっ、その可愛いらしいお子様でしたら」

可愛い?
人の甥っ子変な目で見やがって

「エレベーターの方に向かって行かれましたよ」
「エレベーター?!」

男性女性用ともに各フロアごとにトイレは設置されているはず。なのになんでエレベーターに用があるんだ。
密室と言えどもあそこで用はたせないし。

「分かりました。どうもすんません」

見た目30過ぎの店員にテキトーに謝りつつ携帯で時間を計る。もうかれこれ20分くらい行方不明状態だ。
やっぱ誘拐なのか?携帯にも連絡入ってないし、いったいどこ行ってんだ。

って携帯
携帯あんじゃねぇかっ!!

「俺から電話すりゃいいんじゃん…」
「…」

店員の気の毒そうな視線を背中に受けるけど無視。そんなん気にしてる暇、俺にはない。
慌てて呼び寄せた番号に、祈るような気持ちで鈴の声音を待った。

『はぃ…』
「めぐみっ?!お前なにやってんだよ、今どこにいんのっ?なんともねぇんだなっ?!」
『……ごめんなさい』
「はぁ?意味わかんねぇ。ちゃんと説明しろ」
『ぁ、すみませ…実は、』

掠れる声を辛抱強く聞いてみると、行方知れずなめぐみはデパートの外にいた。何度も謝っているけど謝罪が聞きたいわけじゃない。
居場所を聞きだしてそこへ向かうと、ショーウィンドウに寄りかかっている小柄な少年がいた。雑多な中でも一際目を引く白い肌・栗色の髪。

間違えるはずもなく近寄って行くが、めぐみの方が先に気づいてたらしくオドオドしてる。小動物めかした行動は可愛いけど目を離した隙に逃げるんじゃありません。

「おいコラ、なんでこんなとこいんだ。お前さっきトイレ行くって言ってたろ?」
「…はい」
「無事ならいいけどこっちは心配すんだよ。理由を言え、理由を」

「ッ、だって…ひ、秀明さんと一緒がよかったから」

いや
ならなんで逃げんだよ

もじもじオドオド指先をくねらせて惑う。俺だってお前の心意を図りかねて戸惑いっぱなしだ。どうしてくれる。

「一緒…?今だって一緒にいんじゃねぇか」
「ん…一緒に寝たいって、そうゆう…いみです」
「ばっ…!!」

ドッカーン!!!

と俺の中で今まで堪えてきた何かが弾けた。瞬間的に沸き上がった衝動が行動をともにして目の前の小さい子どもに向かう。

「っ?!…秀明さん…?」
「ぉ、おお。分かってる」

なにが?
なにが分かってんの?

それすら自分でも分かってねぇんだけど

衝動に負けた体が理性と常識を裏切って意味不明なことを口走らせる。未だに裏切りを繰り返す体があたたかく発熱する丸いものを包んだ。

決して初めて触れたわけじゃない
でも確かな意思を持って触れたのは初めてで

これで俺も変質者デビューだな

とか場違いなこと考えてみた。



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あきゅろす。
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