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甥っ子めぐたん
6


「今日が秀明さんと一緒に寝られる最後の日なんですよね。そう思ったら眠れなくって…」
「お、おぉ…なるほど」

おいおい
なんて返せばいいんだ

「迷惑ならいいんです。もう少しだけ見つめててもいいですか?」
「……」

今度は俺が沈黙する番だった。相変わらずお姫様スタイルでガン見し続けるめぐみだけど、無言を拒否と捉えたのか指を固く結んで沈んでしまった。

「…ごめんなさい。またわがまま言って…」

“また”がいつのことだか不明。それを問う間もなくペラい肩が向きを変える。
寂しい沈黙に小さい後頭部を凝視しかできない。あんなこと言われたら叔父さんは困ってしまう。

でも実際困るのはお前だよ
だってお前は大人の男の怖さを知らないだろう?

真っ白な肌が無垢すぎて俺もこわい。ビビらせないよう細心の注意を払って右腕で華奢な体を包みこんだ。


ひっくり返しただけ

「え…いいんですか」
「別に減るもんじゃねぇし。子守唄は歌えないけど、こんな顔見て落ち着くならどうぞ」
「ふふっ、落ち着いてきました」

現金なことにもう機嫌が治っている。俺の腕は美肌に触れることなく、めぐみに布団をかけ直して定位置に帰ってきた。
これが本来の叔父と甥なんだろう。めぐみの微笑みにルンバする股間が間違いなんだ。

「眠れそうか?」
「はい」
「お前の小さな我が侭くらい俺が叶えてやるから」

何気ない一言。さっき言えなかった8割分を俺なりの努力でもって告げる。
ハッとして、でもすぐに破顔する。桃色に見える頬をゆるめて、めぐみがちょっとだけ近づいてきた。

「秀明さんこそ何かないんですか?言ってください。叶えられるかは分からないけど…」
「さぁ。なんもねぇな」

言えるかバカたれ

「本当に?」
「めぐみが俺を困らせてくれればいいとは思ってるかな」
「どういう意味でしょう…?」

本気で考えこむめぐみ。頑張って答えを探すけど、壁かけ時計のチクタクが響いて時間切れだ。

「甥っ子の我が侭に振り回されてみたいのが叔父さんなんだよ」
「そうゆう…ものなんですか?」
「そう。そうゆうもん」

断言するとクスクス笑ってベッドを揺らす。軽い振動がかえって心地いいくらい。
あたたかい温もりに欲望がぶり返す。食べ頃の適温が憎い。

食べちゃっていいでしょうか

いやいや
食べたらマズイ

不味いではなくマズイ

「食べられないんです」
「だよな…ってええぇっ?!!」

心の声が出てしまっていたのか。不埒極まりない妄想が無垢なめぐみを汚してしまう恐怖。

あんまりな出来事に大声あげてベッドから起き上がった俺を、めぐみがやっぱり無垢そのものな瞳で見つめていた。
その表情が若干引きつっていた事実は否めないが。



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あきゅろす。
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