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夢小説(その他)
恋は盲目(ソウルイーター ギャグ?)

「…御馳走様。」

パチンと手をあわせてからサクヤは振り返る。

「課外授業終了、アサヒ、帰ろ・あれ?アサヒ??」

キョロキョロと屋根の上で視線をさまよわせれば小柄な人影が道の隅に立っているのが目に入った。

軽々と屋根から身を踊らせ飛び降りたサクヤは、小柄な少女に問いかける。

「アサヒ、お前何してんの?………蛙?」

アサヒの足元でオロオロと視線をさまよわせた小さな生き物の名をサクヤは呼んだ。

「コイツさっき、喋ったの。」

「蛙が??」

「もしかしたら魔女かも。」

「…一部の魔女は変身魔法が使えるって確か授業で習ったな。」

赤い瞳が興味深そうに細められた。

「…で、どうするの?」

「…とりあえず食べてみる?蛙は鶏肉みたいな味らしいけど…」

ひょいと小さな蛙を持ち上げアサヒは呟いた。

「………どうせ俺に食わせるんだろう?」

「魔女だったら一石二鳥的な…お、嬉しそうに踊ってるぞ。」

「間違いなく、逃げようとしてるんだよ。可哀想だし、逃がしてやろう。」

アサヒの手から蛙を奪いサクヤは踏まれない場所に乗せる。

「もう、捕まるなよ。」

「ゲコ…」

小さな鳴き声をあげ逃げていく蛙にサクヤは手を振った。




「…………というわけなのよ。素敵だったわぁ」

ウットリと呟いたエルカの言葉にミズネは呆れたような表情を浮かべる。

蛙の魔女であるエルカは現在、王子様に片思い中らしい。

「闇のような黒髪に澄んだ赤い瞳…はぁ、死武専生と魔女なんて…まるでロミオとジュリエットの悲劇みたい。」

感慨深そうにため息をつき、エルカは空を見上げた。

「…あぁ、私の王子様…」

そんなエルカの言葉にミズネはあからさまに面倒そうな顔をする。

人間、しかも敵対する死武専生などに現をぬかすなど魔婆様に大目玉を食らいそうだ。

「…ねぇ、本気で言ってるの?」

「当たり前じゃない。メデューサの命令で嫌々だった死武専の侵入も少しだけ楽しみだわ」

「…………はぁ、フリーあなたも何か言ってやってよ。」

ため息まじりに、そばに立つ男に声をかければ……その視線がうろうろとさ迷った。

「フリー、まさかあなたまで…」半眼で呻くミズネにフリーは笑う。

「俺も男だ。恋くらいするさ。」

………………。

ミズネの顔には明らかにお前ら馬鹿だろ。そんな言葉が浮かんでいた。

ミズネが呆れる隣で、エルカとフリーの会話は盛り上がっていく。






「へぇ…魔女の女王の目を奪った、伝説の狼男か…。間違いなく、マカたちが襲われたヤツよね?」

アサヒの問いかけにサクヤはこくりと頷いた。

「サクヤ、」

「あぁ、気をつけろよ。」

名を呼ばれた事でアサヒの意志を理解したサクヤはそう呟き、武器の姿へ変化する。

パシィンっと乾いた音をたて、鞭が地面を打つ。

「狼男なんて刺激的…さぁ、調教してあげる。」

チュッと鞭の持ち手に口づけを贈りアサヒは笑った。





「…………というわけだが、何だその顔は………。」

「今のどこに恋に落ちる要素があったのか理解できないわ。」

バサリと切り捨てたミズネにフリーは答える。

「………何というか、表現し難い感情が芽生えてな。こう…なんか、こう…。」

言葉が出てこないフリーに蔑むような視線を送り、ミズネは深いため息をつく。

メデューサに知られたら何を言われるかわからない…

きっと…

「随分と楽しそうな話をしているわね。」

そうそう、こんな感じで話題に入って…

そこまで考えてミズネはギョッとしたようにメデューサを見つめた。

クスっと口元に笑みを浮かべた彼女は、優しそうにも見えるが中身は悪魔だ。

「アサヒちゃんとサクヤ君ね。2人とも、とても良い子よ。私が協力してあげる。」

いやいやいや、有り得ない。

有り得ないからッ

あのメデューサに他人の恋を応援するなんて殊勝な心があるワケがない。

そう心中で突っ込んだミズネの横でエルカとフリーの心がゴトリと音を立てて動いた。

「メデューサ、あなたって本当は良い人だったのね!」

騙されてる!

絶対に騙されてるッ!

エルカの発言に心で突っ込みを入れたのは口にしたが最後、体内の蛇で引き裂かれる可能性があるからだ。

止めたい、でも止められない。

そんなミズネの気持ちを嘲笑うかのようにメデューサは、エルカとフリーに微笑んだ。

「仲間の為だもの、協力するのは当然だわ」



翌日


「…………コホッ」

息苦しさで目が覚めたアサヒは、微かに漂う嗅ぎなれた匂いに眉を寄せた。

「煙草…?」

この家に煙草を吸う人物は1人しかいないが、扉と壁で遮られた空間にまで煙が届くほどの本数は吸わない。

嫌な予感と共に、床に足をのせたアサヒはそのまま悲鳴をあげ床に倒れ込んだ。

足の裏に走った痛みに涙を浮かべアサヒは捻った左足を押さえる。

床一面に散らばった銀色の玉…、

見覚えのあるそれは、昨日まで部屋になかったはずのものだ。

「な、なんの嫌がらせよ!」



同時刻

「ゲホッ、ケホ」

激しく咳き込みながらサクヤは部屋中に充満した煙に慌てて窓を開ける。

「ゴホッ、喉…痛…」

咳のし過ぎで吐き気すらする。

ぜぇ、ぜぇ、と窓から頭を出し荒い呼吸を繰り返しサクヤは部屋の片隅で大量の煙をあげる嗜好品を睨みつけた。

「何の嫌がらせだよ」



「おはよう、アサヒちゃん。サクヤ君」

「「メデューサ先生、おはようございます。」」

アサヒとサクヤはぺこりと頭を下げる。

足を引きずるアサヒとかすれた声を出したサクヤへ生徒を心配する教師の顔を浮かべメデューサは問いかけた。

「アサヒちゃん、その足はどうしたの?サクヤ君も声が変ね。風邪でも引いたのかしら??」

メデューサの言葉にアサヒとサクヤは顔を見合わせ、朝の出来事を話す。

「誰の嫌がらせかわからないけど、見つけたらぶち殺しますよ。」

赤い瞳に肉食獣めいた光を宿しサクヤが呻けば、

「二度とふざけた真似ができないように脳髄の奥底まで調教してやるわ。」

とアサヒが呟く。

「大変だったのね。何か私で手伝える事があれば相談して頂戴。力になるわよ」

にこりと微笑んだメデューサの顔はどこか白々しい。

当然だろう。

事の黒幕は彼女だ。

そうとは知らないアサヒとサクヤは、子供らしい微笑を浮かべ頷いた。

教室へと向かう後ろ姿を見送りメデューサはニタリと笑う。

蛙や狼風情には、不釣り合いだわ。

2人とも私の可愛い実験対象(生徒)だもの。




その頃、少し離れた空の下

騙された事に気づいていない蛙の魔女と狼男は、同じ空の下にいる愛しい者を思い呟いた。

「「喜んでくれただろうか(くれたかしら)」」


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久々更新
ソウルイーター夢

アサヒさんお付き合いありがとうございました。

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あきゅろす。
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