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せめて君の為に(L×T)
「なあー」
「なんですか」
「こっち向いてくれよ」
「その必要が?」
そう言うとティエリアはその真っ赤な瞳に一瞬でも俺を映すこともなくまた本に意識を戻す。
(押しが弱いかな、自分)
(でもこうしと隣にいてくれることも奇跡だよな)
「早く眠って下さい」
「わかった」
何故かティエリアに眠れと言われると眠気が襲ってきた。瞼の裏にはもちろん横で読書をしている彼の姿だ。
規則的な寝息が聞こえ始めたのでの僕は読書を止めた。
(あなたは馬鹿だ。)
本当に。こんな愚かな僕を助けたおかげで右目を失ってしまうなんて。
だから守ってくれてありがとうなんて、絶対に言ってやらない。
だけど生きて帰ってきてくれたことにはありがとうの代わりに、
(ありがとうの代わりにせめて君の為に生きたい)
2008.03.25
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