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TOX
堂堂たる嗜虐は、ただ愛を示すだけで/アルジュ


「ねぇ…ジュード君……」



腕を掴むアルヴィンの手の力が強くなった。
肉どころか、骨を掴まれてる感覚。

痛い、というよりも苦しい。その手からアルヴィンの思いが伝わってくるみたいで。




「─…、!?」



いきなり背中を壁に押しあてられる。急な事と強い衝撃に痛みが走り、声にならなかった。

ゆっくり見上げるとアルヴィンの2つの目が僕を見下ろしている。
笑っていたけど、それはどこか怒っているようにも、哀しんでいるようにも見えた。



「何を考えてる?」

「…ぅ、え…?」




久しぶりに出た僕の声は掠れていた。
もう片方の腕も掴まれる。

うっすらと優しい笑みを浮かべたと思ったら、アルヴィンは僕の首もとに顔を埋める。
髪の毛が頬にかかり、くすぐったさを感じたけど首に走った痛みにそれはすぐに掻き消された。



アルヴィンが、僕の首筋を噛んだ。




「─っ、!!!…アル、ヴィン…?」

「痛かったか?まぁそうだろうな。割と強めに噛んだし…あー大丈夫大丈夫、血は出ちゃいない。赤くなっただけ……くっ、ははっ!歯形はキレーに残ったけどな」




アルヴィンの声がとても近くに感じる。

そりゃそうだ。耳元で囁くような、そんな距離まで顔を近付けられてるから。
いつになく饒舌なアルヴィンは僕の首筋に残った自分の歯形を指でなぞる。腕を掴んでいた手はいつの間にか離されていた。




「ねぇ〜…ジュードく〜ん」



アルヴィンの声色が変わった。
まるで幼い子供を話し掛けるような、ちょっと間延びした感じ。

また首もとに顔を埋め、自分が噛んだ所に口を付けては舌を這わす。
その舌は徐々に上へとあがってきて、やがて耳へと辿り着く。




「っ、ん…」

「感じちゃってんのー?優等生」

「ちっ…違、」

「違わないだろ…」

「何、っ!!?…いっ、た…」



耳を、噛まれた。

僕はとっさに右手で耳を押さえる。
そんな自分の様子を、舌をちらつかせ笑みを崩さないまま見下ろしてくるアルヴィン。




「……なぁ、知ってるか?優等生」



さらにまた、声色が変わる。


見つめてくる2つの目は、
とても、力強くて

逸らすことが出来なくて、




「痛みも、与えられ続けると快楽に変わるんだぜ?」





堂たる嗜虐は、
ただ愛を示すけで
(そう。これが正真正銘俺からの)
(酷く醜い、─『愛のカタチ』)





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あきゅろす。
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