[携帯モード] [URL送信]

TOX
黙っていないで近う寄れ/ガイジュ

「はぁー?何でよりによってコイツなわけ?意味わかんねー」

(意味わかんねーのはこっちのセリフ…)



「まぁ…そういった嗜好の持ち主には受けるんじゃないかしら」

(どういった嗜好ですか…)



「……………」

(そんなマジマジ見てないで何かしゃべってください)




「あの…何で僕1人だけ呼ばれたんでしょうか」



意を決したジュードが口を開いた。どこか棒読みに聞こえたが気にしないでおこう。

ジュードを囲うように立っていたアグリア・プレザ・ウィンガルはバラバラにだが溜め息をつく。




(溜め息をつきたいのはこっちだよ…!)



思っただけで口にはしない。

もし機嫌を損ねて戦いなんかになったらどうだ。
相手はア・ジュール王に仕える精鋭揃いの四象刃の3人。ジュード1人で勝てる見込みは無いに等しい。




「陛下がご所望だからだ」

「へっ…は、え?」

「ガイアス様が貴方を欲しい、と」

「欲しいって…ちょ、なっ」

「ガタガタうっせーなぁ!」

「二度は言わないぞ」

「一度で理解しなさい」

「テメーのその賢い頭で考えな」


「やめろ。お前達」



凛として、威厳のある声が辺りに響いた。
それと同時に四象刃の3人が一斉に同じ方向を見る。ジュードも少し遅れて、声がした方へと視線を向けた。

視線の先にはいつもの場所に座るア・ジュールの現王。

「よく来た。ジュード」

「や、あの…」

「何を堅くなっている。いつもの威勢はどうした」

「そんなつもりは…あ、えっと…3人にも聞いたんだけど、何で僕だけガイアスに呼ばれたの…?」

「テメー!さっき言っただろーがっ」

「アグリア」



ガイアスの言葉にアグリアは小さく舌打ちをすると黙りこくった。
ガイアスはジュードを見ながら喉から笑う。




「そうだな。己の口から言うべきか。……ジュード」



真剣な眼差しのガイアスにジュードも今までとは違う真面目な顔付きを見せたが、嫌な予感が走ったのか少しばかり怪訝な表情を浮かべる。




「俺の妾になれ」

「……は、?」


「あら。陛下ったら直球ね」

「回りくどい必要無いだろう」

「アハハ!さすが陛下だな!」




「聞こえなかったのか?ジュード」

「…いや、バッチリ聞こえた…けど」

「なら問題ない」

「……………」



おそらく、こっちに来い、という意味がこもった手を差し出される。

しかし、その時の彼には沈黙という反応を返すしか頭が回らなかった。





黙っていないで近う寄れ
「言っておくが帰さんぞ」
「え…!?」





.



3/9ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!