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◆欲しかったもの(神×六)


星空は遠い。
手を伸ばしても届かず、かと言って空を飛べば届くわけでもなく。
人には一生、掴むことの出来ないものなのだ、と六は考えた。

…というよりは、掴めるほどの大きさじゃないのを知っているから。

昔は夜空に浮かぶ金の粒に手を伸ばし掴もうとしていた。
背伸びしても届かなかったので屋根に登って試してみようとも思った。
そう言ったら兄に笑われた。
小さな六にはなぜ笑われたのかわからなかったが、それでもいつかはあの星空に手が届くものだと信じていたのだ。

「結局届くなんてことはなかったが…」

六は一人縁側で夜の空に浮かぶ金の粒を見上げていた。
瞬く煌めきに目を細める。
遠すぎて、遠すぎて、その距離がいかほどのものかを知ってしまった自分が少し悲しい。
知らずにいたら、まだあの星空に手を伸ばしていたのだろうか。

「どったの六、一人で月見?」

「いや、星を見てた」

「今日は一段と綺麗だもんな」

「そうだな」

「六だって綺麗だ。俺様にとっての星空」

「は、何を言ってるんだお前は」

「だって六が綺麗だから」

答えになってない、と内心苦笑しながら傍に座ったMZDを見た。


どちらかと言えば。

「お前の方だと思うけどな」

「え?何か言った?」

「いや、何でも」

「何だよー、気になるじゃんかー」

再度同じセリフを言いながらMZDの肩に頭を預けた。
普段からこうやって甘えることがないからか、六は少し赤くなっていた。
甘えるのは苦手な六が、こんな風に体を預けてきたのが嬉しかったのかMZDはそのまま黙って六の肩を抱いた。

MZDはニヤニヤしながら肩を揺らす。
六はそんなMZDを見たあとにまた俯く。
照れ隠しとは気付かないMZDに笑いをひとつ落とす六。
星空みたいに遠い存在だった神様が自分の近くにいる。
嬉しくて、でも何だか申し訳ない気持ちもあって。
けれど、やっと手に入れられた気もしたのだ。
自分にとっての星空はMZDで、今、とても近くにいる。
小さいころに欲しがっていた温もりは、これだったんだ、と。

「エム」

「ん?」

「…好きだ」

「うん、俺様も大好き」

二人で見上げる星空はいつもより綺麗だった。





+++++++++++

ちょい甘を目指してみた
その結果がコレだ!!

六さんとMZDはいつもお互いを大切に出来る。
隣にいるのはお互いじゃなきゃいけない


2010.6.1.

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