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若者たち
32
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜・・・っ」

開いた携帯を握りしめながら、自室のエアソファに顔を埋める。はぁ…自分がこんなにヘタれだとは思わなかった・・・泉水に会うまではだけどね。

夏休み開始して既に4日、泉水が足りないっ・・・!!超泉水不足っ!!毎日メール送ってるけど、泉水はメールが苦手らしくすっごく返事が遅いうえに返ってこないこともしばしば。
おととい電話かけたけど出なくて、メールで『なに?』って返事きた。それに『声が聞きたかっただけ(* ´З`*)』って送ったら一時間後に『用がないなら電話すんなうざい』ってさ・・・・・そんな言い方ないよねぇ。相手してくれるって言ったくせに!
ってなわけで、俺は再度泉水に電話を掛けようか悩んでる状況であります。用事はちゃんと用意してるっ!今度の土曜か日曜に買い物行こうって誘ってみます!だって泉水の声が聞きてーし・・・絶対声聞いたらそんだけじゃ足りなくなって顔見たくなるはずだし。つーかマジたったの4日会えてないだけだってのに・・・俺大丈夫かな。

泉水の番号が画面に表示され、後は発信ボタンを押すだけというのに、いざそこまで行くとなかなか親指を動かすことができない。なんかさぁー目の前に本人がいたらノリと勢いでイケるんだけど、電話でお誘いするのってめっちゃ勇気いるんですけどっ!!頑張れ俺!!この親指に力を入れるだけだっ!よし行けっ!!


〜♪
「おわっ!!」ピッ「あっ…」
画面と睨みあっていると突然着信音が鳴るもんだから、思わず誰かも確認できずに通話ボタンを押してしまった。

「もしもし?」

『あっ!?恵介!?あたしあたしっ!!』

・・・・・・誰だよ?聞こえてきたのは甲高い女の声。名前を言いなさいよ分かるわけねーだろ。

「ごめん、誰?」

『ひどっ!カナだよー今大丈夫?』

カナ・・・数人の顔が頭に思い浮かぶがどちらのカナさんなのかが分からない。てか全然大丈夫じゃないです。俺の勇気を返せ。

「大丈夫ー。どしたー?」

いまだに誰か分かんないけどとりあえずよそ行き声。

『うん、あのね。今度クラスのみんなで海行こうってなったんだけど恵介も誘わなきゃ始まんないっしょーってことになって!ヒロ君も誘ってみるし!行くでしょ!?』

あ、同じクラスだったのか。クラスのみんなっつってもあの辺でしょー・・・?泉水が行くなら考えてもいいけど、まぁ誘われてないと思うし。

「あー・・・まだ分かんないかも。俺夏休み超多忙なんだよね」

本当は未だかつてない程に予定ガラ空きなんだけどね。不用意に遊んでたりしたらせっかくのチャンス逃がしちゃうかもしんないし・・・あ、でも泉水のバイト期間中は会えないんか。2週間・・・俺耐えられるんか?いや、耐えられないだろ絶対無理だろ。俺どーなるか正直分かんないよ。
大体海ってよー・・・遠いじゃねーかよ。絶対泊まりとかになって夜中までギャーギャー騒ぐんだろ?いや、そーゆーの楽しいし好きなんだけどさー流石に泊まりは勘弁・・・・・・・・・・・・・・・・んっ!!

『恵介ー結局ど「ごめんっ!やっぱ俺行かねー!!」

相手の話も聞かずに早口でそう言い、俺はブチリと電話を切った。

海っ!泊まりっ!思いついたっ!!そうだよそうすればいいんだよっ!!ピッコーンきちゃったもんねっ!!そうと決まれば早速ヒロに連絡を入れねば!!あ、でもちゃんとその後に泉水に電話するよ。だって会いたいもん。


しつこく思われても仕方ないと思う。でも気持ちを言わないだけ全っ然我慢してる方なんだし、会えないのを我慢することなんてねーよなっ!っつーか友達なんだし会いたいっつっても問題ないよなっ!?うん!!

頭の中でこれからの計画を考えながら、良い方へ良い方へと妄想するいかがわしい俺の脳内。口元がにやけるのをなんとかせねばとふかふかソファに顔を押さえつける・・・ダメだ、冷静にならなきゃな。これからヒロとの大事な交渉が始まるんだから。

でも・・・今年の夏休みは楽しくなりそうだな!いろんな意味でっ!!

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