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若者たち
3
4月。今日から俺は高校2年。
春休みは勉強もそこそこに次郎の言葉通り存分に遊んだ。遊んだっていってもお互いの家でぐだぐだ漫画読んだりゲームしたりって感じだけど。たまに買い物行ったり、他の友達とも出掛けたりしてかなりの気分転換になった。
マナミちゃんって誰?藤原って誰??…ってまでは忘れられてはないけど、大分立ち直った。次の恋への意欲満々!!



・・・・だった俺の心は見事に打ち砕かれた。


始業式が始まる前に、張り出されたクラス分けの名簿を見に次郎と二人で掲示板へ向かう。マナミちゃんとだけは同じクラスになりたくない。時間が経っても気まずいだろーしなー……あれから顔合わせてないからなー。
そんなことを考えながら掲示板に群がる多くの生徒をかき分けて進む。
ざわざわざわ。『あ!同じクラス!』だとか『〜君と離れちゃったねぇ』だとか、みんな一喜一憂してる。分かる分かる。クラス替えって無駄にそわそわするよね。うちの学校は3年にあがるときはクラス替えないから、卒業までの高校生活の運命がここで決まるんだ。騒がしくもなる。
さーて俺は…あった。2年5組。お、かとー先生だーあの人の世界史のときのトリビア話好きなんだよな。ちょっと嬉しいかも。・・・ってかとー先生には悪いけどそんなことどうだっていいんだよ。
すぐさま女子の名簿に目線を向ける。マナミちゃんは・・・1組だ・・・・・・ぃっっっよかったあぁぁぁ!!心底ほっとした。1組から4組は階が違うから滅多に会うことはない。小さくため息をついて再び5組の名簿の確認する・・・・あ!

「じろーじろー!俺達また同じクラスっ!あぁ!!見ろよ秋山も一緒じゃんか!!」

1年の頃の仲良かったメンバーが意外に多くて、俺は嬉しさのあまり隣にいた次郎の背中をバシバシ叩いた。少し痛かったのかジロリと俺を見下ろしたあと、右の口角だけを上げて笑った。なに?その顔…どこの凶悪犯ですか?

「お前、しっかり確認しとけ。上から順番によーく見てみろ」

「はぁ?何言ってんだよ」

文句を言いつつもう一度名簿を見る。言われたとおり順番に名前を見ていく。俺の名前があって、次郎があってー・・・・・・・・真ん中よりちょっと下。一点を見つめた俺は顔をしかめた。


男子17番:藤原恵介


「・・・・・・マジでか」

「良かったな。卒業まで同じクラスだ」

「…っうへぁ〜…俺これからは絶対関わらないでおこうって思ってたのに……」

今にも膝をついて崩れ落ちそうな俺の頭を次郎はポンポンと叩く。マナミちゃんよりはマシだけど、できればあいつとも同じクラスにはなりたくなかった。

「話したのはあのとき一回きりなんだろ。お前みたいにどっこでもいそーなやつの顔覚えてないだろ」

「お前何気に失礼だぞ」

でもまぁ確かに。俺みたいに彼女を奪われた男は校内にも大勢いるだろうし、奪ったとしてもそれを気にするタイプには到底見えない。俺が気にしなければいいってことだけだ。あいつを見るたびに失恋の傷が疼きそうなのは我慢できるか心配だけど。
所詮は別次元の人間なんだし同じクラスといっても話すことは滅多にないだろうと高を括って、さっさと歩き出した次郎の後を追って新しい教室へと向かった。




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