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若者たち
16
フィレオフィッシュうまー!やっぱポテトにはマスタードつけて食べるに限るよなぁー…コーラは止めとけば良かった。腹がたぷんたぷんする…俺、普段炭酸飲まないんだよなー…・・・・・・

「泉水、本当ごめんね?ご機嫌治ったー?」

…ゲプッ・・・

「きたなっ!!ゲップでお返事って行儀悪すぎでしょー」

「うっせー」

男がゲップぐらいでぐだぐだ言うなよ。
あの後、スタバを後にした俺を藤原は慌てた様子で追ってきた。なんか色々言ってるようだったが俺は腹が減ってるってのもあって、イライラマックスでヤツが言ってることは何も耳に入らなかった。たまたま通りがかったマックに入り腹ごしらえをすることに決めたのだが、何故か藤原もついてきた。

「・・・・・・よかったのかよ。あの女の人」

「ん?あぁ、別に知らない人だったし」

はっ!?あんな親しげに話しといて?どー見ても親密な仲までいっちゃいました〜っ♪的な感じだったんですけど。誰とでもあんな雰囲気出せんのかコイツ・・・改めてスゲーわ。絶対こうなりたくはないけど。
ポテトを口へ運びながら怪訝な顔で見ていると、向いの席に座る藤原が人差し指を向けて俺に近づけてきた。なっ…なんだよ・・・・と言おうとすると、俺の眉と眉の間に指をぴとりと押し付けた。わずかに感じる体温は、ヒヤリと冷たい。

「なにすんだよ」

「泉水さー俺といるときいっつも眉間にしわ寄ってる」

当たり前だろ。お前と一緒にいて俺が笑ってられることの方がおかしいだろ。
左手で頬杖をつき右手は俺の眉間を指差したまま、いつものようにニコニコと笑いかけられる。近くの席にいる若い女の子や店員がチラチラこちらの様子をうかがっているのを感じる・・・早く出るべきかな。あー…でもコイツと一緒だったらどこ行っても目立つかー…

「俺と一緒にいて楽しくない?」

「・・・・・・・・・楽しくない」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・そっかぁー」


それっきり、藤原は俺の眉間から指を離して黙りこくってしまった。下を向いて俺のコーラをズズッと音を出して飲んでいる・・・・な、なんだよ・・・・・え?もしかして俺、言いすぎた?いや、でも、楽しいっつったらそれも嘘になる気がするし、コイツいっつも何言っても平気そうな顔してるしー――……き…気まずいっ!!普段ムダにうるさいヤツが黙るとこうも気まずいんか!!内心焦りながら、ちらりと藤原を見てみる。じるじるとコーラをすすっているが、無表情なせいかいつもより男前だ。いつもこんな顔してればいいのに・・・まぁそれもなんか気持ち悪いけど。

う〜…なんか喋れよ・・・と、いい加減しびれを切らした俺が口を開こうとすると、藤原はくわえていたストローを離して勢いよくこちらを向いた。

「っ!?」

「っでも!!俺は、ちょー楽しいっっ!!!!」

「はっ!?」

いきなりでっかい声で叫ばれて、俺も思わず声をあげたしまった。あぁ…女の子だけじゃなくて、もう店内中から注目の的だよ…最悪。人からの目線を浴び慣れてないんだよー俺は!早くっ!早くここから出してくれっ!!
そんな俺を無視してなおも藤原はでかい声で俺に訴える・・・勘弁してくれよ、マジで。

「でさ、泉水が楽しくなったら俺ももっと楽しくなると思うんだよ!だから俺は泉水を楽しくさせるためにこれからも一緒にいるから!!分かった!?」

・・・・・・分かんねぇよ。さっっっぱり分かんねーよっ!!って大声でつっこみたいところだが、これ以上の視線には耐えられない…
俺は黙ってトレイを持って席を立ち、外へ向かう。後ろから「まってよいずみー」と声が聞こえたが、とりあえずは無視の方向で。あいつテンションの上がり下がり超激しい…びっっくりしたぁー…

外へ出てすぐに藤原は俺の隣へ並んできた。顔を見ると、またいつものヘラヘラした笑顔に戻っている・・・やっぱりこっちの方がマシかも。さっきの藤原気持ち悪かった。

「つーか俺たちこれからどこ行くわけ?」

人ごみに流されるように適当に前へ進む俺たち。とりあえず今からはこいつに付き合わなきゃいけねーんだよな…

「んーとりあえず俺服欲しーし商店街行ってー・・・・と、その前に!!」

またでかい声出しやがって・・・今度はなんだよ?

「泉水、俺に謝って!!」

「あ?なんで俺がお前なんかに「泉水ー…人を30分以上も待たせといてそれはないんじゃない?大体泉水が遅れるから俺は店ん中で待ってたんだよ?外じゃ声かけられまくりで大変なんだからー…まぁ中でもかけられちゃったけど。俺は謝ったよね?泉水は謝らないの?」

うっ・・・・何も言い返せないのが悔しい。間違ったこと言われてねーんだもん…俺だってちゃんと悪かったとは思ってるよ!でも、言い方がすっげームカつくんですけどコイツ!!

「泉水ちゃんは悪いことをしても謝れない残念な子なのかなぁ〜?」

ぽんぽんと俺の頭を叩きながら、眉を下げてぷぷっと笑ってきやがった・・・ムッカァー―――ッ!!

「・・・・っ悪かったなっ!!このクソ野郎っ!!!!」

「っ!?…いってぇぇぇ!!??」

バッチーン!!と気持の良い音をさせ、俺はヤツの背中を平手で思いっきりぶっ叩いてやった。





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