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若者たち
15
…やってらんね〜・・・なんでせっかくの休日にこんなに早く起きなきゃなんないんだ。まだ午前中だっつーの…まぁもーすぐ11時だけど、俺は用事がない日は昼過ぎまで寝るんだよ。昨日も録り溜めしてた海外ドラマ見てて深夜まで起きてた・・・ねみぃー。

♪〜…・・・・・あー携帯が鳴ってる…すっげぇ出たくないんですが。今俺は洗面所。歯をシャコシャコ磨きながら、リビングに置いてきた携帯が鳴らす音楽に思わず眉を寄せる。まー無視すればいっか・・・・とは思ったものの、一向に音楽が鳴る気配はない。一回途切れたと思ったらまた鳴り始める。しつこいなぁ。歯を磨きながらリビングへ向かい、鳴りやまない携帯を手に取る。

ピッ「ふぁんらよ、ひふけーなぁ」

『あっ!?泉水?今どこっ?ってかなんて言ってんの!?』

・・・・・あーやっぱり。

「ひま、ひえれひゃぁみはいへる」

『は!?家っ!?歯ぁ磨いてんの!?』

おー…よく通じたな。なかなかやるじゃねーか。

『い、泉水ちゃん?今日待ち合わせ何時だか分かってる?・・・もーすぐ11時なんですけど…』

「ふぁふぁっへるよ」

『俺もう待ってんだけどー…』

携帯を耳にあてながら洗面所へ戻り、口をゆすぐ。はースッキリサッパリだぜっ!

「あーゴメンなー。寝坊したっ!あと30分待ってもらえませんかね?」

『ちょっ…反省してないよねっ!?しかも急ぐ気も全くないよね!?』

テンション高いな。反省してるよ、一応…でもさっき目ぇ覚めちゃったんだもん。待たせてんのがコイツだからまぁいっかー!とかは思ってるけどな。

『…泉水ー?ちゃんと来てよー?』

「分かってるって。じゃーな」ピッ

はぁー・・・・・そうです。今日は、例の土曜日なんです。とりあえず自分の部屋に戻り着替えることにする。タンスを開け、適当に目についた服を取り出し着替える・・・今日出掛けんのが女の子とのデートだったらなぁー…前日から着る服悩みに悩みまくって、準備万端なんだろーけどなぁ…なんであんなチャラ男と二人っきりで会わなきゃいけねーんだよ。ただのチャラ男じゃないよ?俺から彼女奪って、俺にキスかましたイケメン君だよ・・・今となったら周りの女がなんでアイツにキャーキャー言うのかさっぱりわからん。俺が女なら絶対願い下げだね!!・・・・所詮、顔なんだろーけどさ。う〜〜…………行きたくないぃ・・・・昨日次郎にグチったら「約束したんならちゃんと守れよボケ」って怒られた・・・あれ約束か?俺、脅されただけだと思うんだけど。




しかたないから家を出ることにする・・・あんな奴でもあんま待たせたら悪ぃし…ってかちゃんと待ってんのかも疑問なんだけど。そもそも、なんで俺を貴重な休日に誘ったんだよ。藤原と二人っきりで一日過ごしたいって奴らが何人いるんだか…代われるもんなら喜んで代わってやりたいよ。
待ち合わせは、ここらでは一番栄えてる駅前のスタバの前。俺の使う駅からは一駅の距離だからすぐに到着。あ〜腹減ったー…時間は現在11時36分。朝飯も食べてないから腹鳴りそーだわぁ・・・・
今にも鳴り出しそうな腹をさすりながら、スタバの前に着いた・・・んだけど、あいつ…いないんすけど。はぁ?マジかよ!キョロキョロと辺りを見回してみるが、さすが休日の繁華街…人は多いがそれらしいヤツが見つからない。あいつなら目立ってすぐ見つかると思ってたんだけど・・・・・もーめんどくせっ!!ジーンズのポケットから携帯を取りだし、ポチポチと藤原の番号を呼び出す。

携帯に耳を当てると、聞こえてきたのは今流行りのロックバンドの歌声・・・あいつ、待ちうた設定してんのかよ。つーか出ねぇし…鳴り続ける音楽に聞き入りながら、なんとなくスタバの店内を見てみる・・・・・・・・・・・・・・あれ、藤原君が見えるんですけど。窓際に座って優雅にコーヒー飲んでんのが丸見えなんですけど。…さすがに超目立つわーなんで気付かなかったんだか。そーいや最近スタバ入ってないな…キャラメルフラペチーノ大好きなんだよなー…いやいやいやいやそーじゃなくてよ、あいつ・・・一人じゃないんですけど。めっっっちゃキレーなお姉さんと楽しそうにお喋りしてるんですけどっ!!あー…ほんと美人さんだわぁ露出たっか!羨ましいですことっ!!

俺は黙って二人が座るテーブルの窓越しへ向かう。お、やっと携帯鳴ってんのに気づいたか。どんだけ夢中にお話ししてたんだか。ようやく音楽が止まる…サビ覚えちゃったよ。

『あ、泉水〜着いた!?ちょっとま「遊んでくれる相手他に見つかったみたいだから俺もー行くわぁじゃーな。しねっ」ブチッ

息継ぎもせず一気に言っている間に、藤原は窓越しに俺が立っているのに気づいたようだった。ぽかんとしたマヌケ面でこちらを見ていた。目が合ったのでフンッと鼻で笑ってやり、俺は踵を返してその場を離れた。

あー助かった。大事な大事な休日をあんなヤツと過ごさなくてよくなったんだもんな。あのお姉さんに感謝せねば!せっかく街まで来たんだからなんか服とか見てこーかな…あ、本屋にも寄ってこ。

…キュルルルゥゥ〜…・・・とりあえず、まずは腹ごしらえだな。


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