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若者たち
14
「・・・・・・と、ゆーわけなんですけど・・・」

「ふ〜ん」

は…恥ずかしすぎるっ!!何が楽しくて親友に男とキスした話なんぞしなきゃいけないんだっ!!マナミちゃんと付き合ってたときだって、俺ほとんどそんな話しなかったんだぞ…。
ってゆーか次郎ちゃん?反応うっす!ふ〜んって何さ、ふ〜んって!これって結構衝撃的な話だと思うんですけど。

「えっ・・・・いや、あの、じろー?」

「なんだよ」

「気持ち悪くないの・・・?俺・・・男とキ…キスしたんだよ?」

「別に」

なんと!!普段俺に対してキモいキモいと連呼しているくせに、このとびっきりキモい話は平気だと!?メロンパンを食べ終わった次郎は、チョココロネを袋から取り出した・・・甘っ!俺は菓子パン一個あったらもう一個は総菜パンがいいなー。バランス良くな。呆気にとられていると、はみ出したチョコを舐め取りながら次郎が睨んでくる。ほらほらエロかっこいいから!女子が超見てるから!

「・・・で?」

「へっ!?」

「藤原にキスされたんだろ?で?」

「でって・・・・えーっと・・・…どうすればいいと思う?」

「別に、どーもしなくていいんじゃね」

・・・なんだよなんだよ。俺結構真剣なんだけど・・・いや確かに、男にキスされたんだけどどうすればいい?って友達に相談されたら俺だって困るけどさぁ。すっげぇどうでも良い答え方されたら正直ヘコむんですけど。

「キスぐらいでグダグダ言ってんじゃねーよ。どーせからかわれただけだろ。これだから童貞は・・・あーつまんね。コーヒー牛乳代損したわ。お前明日俺にジュースおごれよ」

ひっでえぇっ!何この子!!しかもさりげなく失礼なこと言わなかった!?いや・・・確かにからかわれただけなんだろーけどさぁ。俺はお前らと違って普通の男の子なんだよ。デリケートなんだよ。思春期少年が男に唇奪われちゃったらそら悩むっしょ!?何も言えなくなった俺を見て、次郎がにやりと笑う・・・なんか良からぬこと考えてるな。

「なんなら俺も今からやってやろーか?お前には経験っつーもんが足りねーんだよ。ほら」

「…ひぁっ!?」

次郎が俺の顎を手に持って固定させる。ちょっとちょっとちょっとぉぉっ!?
ギャーッ!!顔近付けてくんな!おっとこ前だなオイッ!!っつーかみんな見てるよっ!お前ら黙って見てないで止めろよっ!!俺の心にまた傷ができるってば!!

「ちょっ・・・まてまてまてっ!タンマッ!ひぃ〜…っじろーちゃん落ち着いてっ!!」

必死の抵抗もむなしく、にやにやしながら次郎が顔を近づけてくる。

「やだってば!!・・・ちかいちかいぃー――――!!・・・・・…っマジでやめっ…むぐぅっ!!」





俺の口は、ふさがれました・・・…―――――――――…背後から回されてきた誰かの両手によって。

あっぶねぇ!超セーフ…助かったぁ!!心優しい誰かが助けてくれたんだなっ!!しっかし次郎の邪魔をするとはなんと勇気のある・・・こわっ!次郎が物凄い形相で俺の背後にいる誰かを見ている。こらこらっ俺は慣れてるからまだいいけど、他人にそんな顔しちゃだめでしょー・・・…


「なーにイチャこいてんのさ」

・・・・・・・・・・前言撤回。次郎、睨み殺してやっていいぞ。
背中から聞こえる声に背中がゾクリとして、また昨日のことを思い出してしまう。半径3メートル以内に近づくなって俺言ったのよな?今ゼロ距離だから!!

「ふぇふぇー…ふぁふぁひふぁはへっ!!」

「へっ?何て言ってるか分かんなーい」

…っこのやろー・・・…っつーかそろそろ苦しくなってきた!マジで離してほしくてなんとか後ろから回る手を離させようともがくが、うんともすんともしない。なんで力あんだよ・・・ヒョロっこい体してるくせに。うー・・・苦しい・・・

「恵介離してやれよ。木村の顔がヤバいことになってる」

吉岡っ!いたのか!!グッジョブ神様っ!!

「えっ!?泉水のヤバい顔見たいっ!!」

…っっっはぁぁぁ〜〜ー―・・・思いっきり息を吸い込む。やっと手を離したと思ったら、今度はその両手を俺の頬に当ててグリンッと顔ごと後ろに回しやがった。いてぇっ!!今首ぐきっていったぞ!!

「ってっめぇ!!何すんだよっ!?」

「あ、ほんとだ。やべー」

目の前の藤原は、ニコニコしながら俺の頬をぷにぷにと指でにぎりだした。

「離せってばっ!!」

「やーだ。泉水、顔真っ赤だよー」

おめーに口ふさがれてたからだよっ!助けを求めようとちらりと目線だけで次郎を見ると、吉岡と二人でなにか話している・・・・・あれ、吉岡…今度は助けてくれないわけ?てか、無視ですか?盛り上がってるようですね・・・・お二人いつから仲良くなったの?まぁ気が合いそうな二人ではあるけども・・・

「泉水ー、俺泉水にお願いがあります」

「却下」

「まだ何も言ってないじゃんっ!!」

「お前のお願いなんか聞く価値ねーよっ」

いまだに藤原は両手を俺の顔から離さない。恐ろしく整った顔をニッコリ微笑ませる・・・・な、なんだよ。なんかいつもと違うんだけど・・・・・

「聞いてくんなきゃ、昨日ちゅーしたこと今ここで大声で言っちゃうよ?」

お・・・脅しですか?最低だコイツ・・・これまでも最低だ最低だって思ってたけど、マジもんだよ。どん底だよ。地球の裏側までいっちまうほど最っっっ低だ。

「・・・・・・・・・・・・なんだよ」

くっそ〜!すっげぇ悔しいっ!!でも、絶対他の奴らにはバレたくない。なんて言われるか・・・特に藤原信者の女子。キラキラと瞳を輝かせながら目の前のこいつは言った。

「んふふー♪今度の土曜、一緒に遊びましょっ」

・・・・・・・・・・はっ!?





「つーかさぁ、別にちゅーしたとか言われても誰も信じないと思わねぇ?」

「あぁ・・・あいつバカだからな」

「ははっ!バカが二人揃うとおもしれーなぁ!!」


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