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若者たち
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「いーずーみっ!おは「ぅげっ・・・・てめぇっ・・・くんなっ!!俺の半径3メートル以内に近づくんじゃねぇっ!!・・・ィギャーッ!!マジくんなっ触んなっ!!・・・じろーっ!じろぉぉー助けてっ!!!」

朝からうるさいなぁ泉水は。仕方ないから髪の毛ワシャワシャしてあげたら、後ろで女の子に話しかけられてる狭山クンの背中に隠れちゃった。あ、女の子に睨まれてるよーただでさえモテないくせに。
てゆーか、狭山クンのとこ行かれたら近づけないよー・・・あの人普段から顔コワいけど、泉水にかまおーとしたら睨み殺されんじゃねーかってくらいの目ぇされるときあるんだもん。どんだけ大事にしてんのサ。

しょーがないから、愉快な仲間たちのところにでも行きますかー。

「おはよー恵介。今日はいつもに増して木村に嫌われてんじゃん」

「けーすけぇー最近うちらの相手してくんないよねー。あたしちょー寂しいんだけど」

「もー木村くんで遊ぶのやめなよー。かわいそーだよ」

「お前近くにいねーと女子が寄ってこねぇんだよなぁ、ははっ」

・・・ははってなんだよ。俺ってば人気者だから、すーぐ人がいっぱい集まってくんだよねー…楽しいんだけど、なんか物足りない。いや、前までは全然物足りてたんだけどね?馬鹿みたいに騒いだり、女の子と遊んだりすんの大好きだったし。でもなー泉水と一緒にいる方が何百倍も楽しいし、面白い。
ちらりと泉水の方を窺ってみる。いまだに狭山クンのそばにひっついてる。あ、気づいた・・・ニィって笑って手をヒラヒラしたら、イィ〜ッて顔してきた・・・・やべぇーいじわるしてぇー。



周りはつまんないし、泉水には近づけないし・・・・たるい授業はサボりけってーぃ!っつーことで屋上でまったりします。

「で、何で俺までサボんなきゃなんないわけっ?」

「もーヒロちんのイケズッ!俺一人でサボる勇気ないんだよー」

ヒロを道連れに屋上へ来た俺らは、手すりに背中をつけてダラ〜ッと二人して座る。あー空は青いし風はきもちーし、最高のお昼寝日和かも。ヒロがポケットから煙草を取り出し、火をつける。こう見えて俺は煙草の臭いとか大嫌いなんだよね・・・意外とか言うなよ!一回も吸ったことないんだから。それを知ってるヒロは、さりげなく俺の風下に移動してくれる。
ちょー男前じゃない?俺の周りの奴らの中でもヒロは人間ができてるからね。あ、でも煙草はハタチになってから!!

「木村にさぁ、お前をどーにかしてくれって泣き顔でお願いされちゃったんだけど」

「なにそれっ!泣き顔ちょー見たいっ!!」

「そこかよっ!!」

さわやか笑顔でつっこみも冴えわたってますねー。そーゆーとこ大好きだよ。ヒロだけは中学から今まで唯一つるんでるヤツだから、俺のことも結構分かってくれてると思う。

「あんなに怯えさせちゃってよ。なんかした?」

「んー?多分ちゅーしたからかなぁ」

「へぇ〜・・・・はっっ!!??」

手に持った煙草をポロリと落とした。危ないよ!!俺は慌ててそれを拾い、地面にグリグリ押しつける。ヒロは気にする風でもなく俺の顔を凝視してきた・・・そんな見られたら照れるんだけど。

「なにー?どしたのー?」

「・・・・いやいやいやいやいやいやいやいやいや」

ヒロちん壊れちゃったよ。俺は先を潰した煙草をどう処理しようか悩んでいる。こいつはいっつもどこ捨ててんの・・・?

「いやいやいや・・・・・・え、ちゅーってあの、ちゅー!?木村にっ!?口ちゅー!?」

「うん?泉水めちゃ口笛ヘッタくそでさー一生懸命フーフーしてんのっ!くち突き出しちゃってさぁ、なんか・・・しちゃったんだよねー。あ、そんときの泉水の写メ見る?マジウケるよ」

むふふ〜って泉水の写メをヒロに見せてあげた・・・・・のに、全然見てくんない。一人でぶつぶつ何かつぶやいてる。仕方ないから自分で見よう。・・・あー泉水のアホ面マジたまんないっ。
俺が携帯画面眺めながらにやにやしてると、ヒロにポンッと両肩を掴まれ正面から見据えられる。

「お前・・・・俺とちゅーできる?」

真剣な眼差し・・・え・・・・キモッ!!やっぱりヒロおかしい!!さっきから壊れっぱなしじゃん!!

「ヒロ・・・やっぱり若いときから煙草とか吸っちゃダメだと思うんだ。脳みそまでケムリが到達しちゃったんじゃないのかな」

きっと肺だけじゃなくて頭ん中まで真っ黒なんだ・・・心配だ。ヒロに合わせて真剣に、なるべく優しく言ってあげる。

「俺とちゅーできるかって言ってんだよ」

「できません。俺は女の子としかちゅーしたくありませんです、はい」

大丈夫か、ヒロ。今までさわやかボーイで通してたのが崩れちゃってんぞ?いくらなんでも男とはちゅーは無理だわー…まぁ俺ほどにもなると求めてくるヤツもいるかもしれんが・・・・・・・ハッ!!!!

「ご・・・ごめんヒロ。俺気付かなくて…でも、お前のことは友達としか見れ「違うわボケッ!!!!」

いってぇっ!!!チョップくらわしやがったっ!!!
涙目で頭を押さえる俺を見て、はぁ〜ってでっかいため息をつく。なんだよ〜。



「木村も男じゃん」

・・・・んぇ?

「・・・・・・・・・うん・・・そーだね」

「じゃーはいっ!なんでちゅーしちゃったのか考えてみよっか!!」

手をパンパン叩きながら言ってくる。・・・・・なんでって?なんでちゅーしたかって??そりゃ・・・口笛下手くそな泉水の口が、ちゅーしてほしそうだったから?いや・・・俺がしたかったんだけど。唇が渇くのかたまに舌で舐めるとことか、出来ないのが悔しくてぷるぷる震えるまつ毛がかわいくてさ・・・・・

「…ッヒロ・・・!!どうしようっ!?」

「なにがー?」

俺がうんうん唸っていると、いつの間にかヒロはまた煙草に火をつけ出していた。
気づいちゃったかもしれない!!

「泉水って実は女の子なんじゃねぇっ・・・!?」

「・・・・・・・・・・・」


しばらくヒロは俺と会話してくれませんでした。



大丈夫だよ。
ちゃんと分かってる。
多分、もう随分前から気付いてたんだ。

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