ターコ。それは癖
名前に避けられてどれぐらいになるんだっけか?
「帰るぞ」とオレが声をかける前に、いのの方へ走って行った名前。
あの時はガラにもなくかなりヘコんだ。
嫌われたんじゃねーかってその日は飯が喉を通らなかった。(親父には恋する乙女かァ、なんてからかわれた気がする)
キバやナルトはそんなオレを見て鼻で笑ってざまあみろなんて言いやがった。
ムカついて殴っておいたけど名前に避けられたという何とも言えない気持ちはどうにもならなかった。
何日経ってもその気持ちは変化することも、消えることも無くオレを苦しめて……。
気分転換になれば良いと散歩に出掛けた。
家を出て数分歩いた所にある公園に差し掛かるまでは鳥が飛んでるだ影が伸びてきてるだ、名前のことを考えずにいられたのに。
まさか公園の中からでかい声で名前を呼ばれるなんて思ってなかった。
「シカマルー!!」
よく知った声で、振り向けば金髪のアイツが立ってオレに向かって手を振っていて、取り敢えず無視は出来ねーと思った。
公園内に足を踏み入れればいのはベンチに座った。
途端にオレの悩みの種がいのの隣にいることに気付いた。
誰か居るとは思っていたがまさか名前だとは思わなかった。
「久しぶりだな、名前」
久しぶりに話し掛けたオレの声は若干震えていたと思う。
急にいのが店番だって言って帰りやがった。
名前に近寄り声をかけていたが離れた場所にいるオレには聞こえなかった。
「時間あるか?」
咄嗟に出た言葉に内心、オレ自身驚いたが名前も驚いているように見えた。
返ってきた返事は今まで聞いたことない、細く、女らしい声でオレをドキッとさせた。
黙って歩けば名前は後から着いて来てこれも今までなかったな、と記憶を振り返っていた。
辿り着いたのは2人でよく来ていたお気に入りの場所。
毎日に等しいぐらい来てたオレは名前の姿を1度も見ることが無かったと思い声をかけた。
距離を空けて座った名前にショックを受けながらククっと笑った。
未だ距離を置かれていることに笑えてしまった。
オレからの唐突な質問に名前は好きだと言った。
オレではなく、サイが好きだと
でもそれは嘘なんだろ?
名前が嘘をつくときの癖。
早口に加えて、左手の親指の腹で右手の親指の爪を撫でるのがわざとじゃなければ。
嘘であればオレも少しは安心できる。
俺にもチャンスがあるんじゃねーかって。
アイツが本当にサイを好きならおしまいだが。
キバが言ってた。
サイの好きなヤツは名前だって。
それ聞いた瞬間はビクッとしたがそん時は軽く流した。
変な自信があったのかもしれねー…。
サイではなくオレを選ぶと、オレ以外好きにならねーと。
誰かに聞いたわけでもねーのに。
オレは自分が思っている以上に名前のことが好きらしい、な。
ターコ。それは癖
(好きだ、名前)
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