ターコ。それは告白
「あんた、それ修羅場じゃん!」
「……やっぱり?」
いのに今朝のことを伝えること10分。
今は自習の時間で教室内はざわざわと騒がしい。
こんな中ではいのの大きな声にも反応する人はいない。
「で?アイツのとこ行くの?」
「……行かないでいいと思う?」
「思わなーい」
授業に集中出来るはずもなく時間は過ぎてあっという間に昼になってしまった。
1限目から教室にいないシカマルからメールが来て数学準備室と書かれていた。
いのに背中を押されて教室を出た。
「どこに行くの?」
「・・・サイ」
「また体調が悪かったりするのかな?」
「違う、よ?」
「……シカマルに会いに行くの?」
私が目を見開くとサイはニコっと笑った。
サイは数メートル離れていた私に歩み寄った。
「行かないで、・・・って言いたいところだけどボクじゃだめってことなんだよね。分かってたんだ、名前がボクを見てくれることはないってこと」
サイは少しの間下を向いて黙っていた。
廊下にはクラスメートのざわざわした声と先生の声が響いているだけだ。
数分経った時に黙っていたサイが顔を上げた。
「名前。ボクはキミのことが好きでした」
「……サ、イ」
「寝癖ついたままだ。……頑張ってきなよ」
手を伸ばされて髪を撫でられたと思ったらサイに抱きしめられていた。
「ボクが名前に触れるのはこれが最後。ほんとに、本当に好きだった。・・・・・さようなら」
サイの腕が離れたと同時に後ろから声がかかった。
「なーにしてんの」
「カカシ先生」
「あ、ちょーどよかった。サイ、手伝え」
「はい」
サイはカカシ先生に連れられて職員室に近い階段を降りて行った。
足は自然と数学準備室へと向かっていた。
シカマルが好きだってこと、サイに気づかれてたんだ。
あの時、サイが好きだなんて言わなきゃよかった・・・・・・。
たどり着いた数学準備室のドアを開けた。
「おう。待ってたぜ」
「お、遅くなったよね」
「構わねーよ。お前は必ず来ると思ってたし」
まぁ座れと言って今朝カカシ先生と並んで座ったソファーを指差した。
私が座った向かいの窓際に立ったシカマルにどきっとして下を向いてしまった。
「お前、いつまでオレを避ける気なんだ?さすがにオレも泣きたくなるっての」
「ごめん」
「無意識のうちにこうなったんだろうけどな」
「………」
「あー・・・・・今言いたいのはそんなことじゃねーんだ。オレはうじうじすんのも遠回しに言うのも好きじゃねぇからはっきり言うけどな。お前がサイを好きだろうが誰がなんと言おうが」
下を向いたままの私の視界にシカマルの下履きがちらっと見えたかと思うと顎を掬われ目を合わせさせられた。
「オレはお前が好きだ」
シカマルの目には目を見開いている自分が映っていた。
ターコ。それは告白
「よーやく言えたぜ」
小さく笑ったシカマルの右の頬は少し腫れていて、なんとなく理解した私は涙を止めることが出来なかった。
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