[携帯モード] [URL送信]
ターコ。それは保健室




次の日、登校すると教室の後ろの方に人だかりが出来ていた。




「おはよう」




小さな声でそう言えばいのが私に気付いて駆け寄ってきた。




「おはよう、いの。昨日は本当にありがとうね」

「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないわよ!」

「どうかした?」

「落ち着いて聞くのよ」




そう言っていのは深呼吸をして




シカマルに彼女が出来た




このざわついた教室の中、はっきりとちゃんと私の耳に届くようにそう言った。




「私もさっき来たからびっくりしたんだけど。キバもナルトもそう言って騒いでるの」




人だかりになっている中心を目を凝らしてみれば見えた。


いつもみたいに高い位置で結ばれている髪が。


今だ

「どんな子?なぁ、シカー」

と大声で言っているナルトのお陰でこの騒ぎを信じるしかなかった。


胸がぎゅーっと握り潰された感覚になって涙が出てきた。




「……名前」




といのの声が聞こえてきて教室にはいられず鞄を持ったまま保健室へ走った。


いのが私の名前を呼ぶ声が聞こえたような気もするが振り返らなかった。




全速力で保健室までくるとドアを開け中に入った。


先生は朝の職員会議の最中らしく、保健室には誰もいなかった。


ドアから一番遠いベッドに入り、鞄からタオルを取り出して声を出さずに静かに泣いた。









「名前」




肩をトントンとされて目を開けた。


あぁ…寝ちゃったんだ。


段々と意識がはっきりしてきた所でもう一度名前を呼ばれた。




「サイ」

「おはよう。もう昼休みだよ」

「うっそ…」

「朝からここにいたの?」

「うん」

「じゃあ、よく寝たね」




名前はよく育つよ、きっと。


サイはそう言いながら笑って私が寝ているベッドに腰掛けた。


……サイって何気腰パンなんだ。




「名前は彼が好きなの?」




突然の質問にびっくりして咳が出た。




「4時間経った今でも教室でナルト達が彼を問いただしてるよ」




小さく笑いながらサイはそう言った。


シカマルに(不本意だが)彼女が出来て、悲しくて苦しくて泣いてたんだよ。


……絶対目腫れてるし。




「サイ、私ね……サイとは付き合えない」

「どうして?」

「どうしてって…」




サイは眉を下げて、優しい声で返してくる。


寝ている私に影が出来たかと思えば見えていた白い天井はサイによって遮られていた。


つまりは、私は多分、サイの下にいるのだろう。


誰か見たら勘違いする!




「サ、サイ!ベッドから降りて!」

「ねぇ、名前はボクのこと嫌いなの?」




段々と近付いてくるサイの整った顔に緊張が走り顔を反らした。




「サイのことは好きだけど、でもそれは……!!」




友達としてだから、そう言おうとした。


しかしそれは言うことが出来なかった。


なぜなら、カーテンの所に立っている――――シカマルと目が合った瞬間だったから。






ターコ。それは保健室
(シ、カ)
(…お前らここ学校)
(分かってるよ(…あと少しだったのに))











15/23ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!